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[ ハードボイルド ]
ゴッドウルフの行方
私立探偵スペンサー
ロバート・B・パーカー 出版月: 1976年01月 平均: 4.00点 書評数: 3件

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早川書房
1976年01月

早川書房
1984年10月

早川書房
1986年09月

No.3 2点 クリスティ再読 2018/10/23 13:03
スペンサーというと、その昔人気絶頂の頃に「初秋」を読んで、○○となってそれ以降「評者の読むもんじゃねえや」と敬遠していたわけだが、このところ70年代ネオ・ハードボイルドを漁るようになったこともあって、スペンサー初登場の本作を読んだわけだが....まあ、評者の読むようなもんじゃない。相当の酷評をするので、ファンの方はブラウザバックを。

ハードボイルドというと、まあ「警句」という奴が主人公の生き様を示して云々、があるわけだけど、たとえばマーロウの場合、「警句」を飛ばすのは何かしらマーロウが傷ついてる心理を表す、なかなか奥深い機能を評者は感じるわけだ。だから「警句」は気の利いたことを言って他人をやり込めるのが目的じゃないどころか、「他人への愛や思いやり」は絶対必要なんだよ。このスペンサーという男、依頼主は侮辱するわ、表立っては法に触れていない学生や教授を恫喝するわ、やりたい放題。しかも嫌がらせみたいな皮肉を飛ばすチンピラにしか評者は見えないんだが、どうも皆さんそう見えないのかな? でまた、大学当局と容疑のかかった女子学生の父親から、実質同じ事件について二重に依頼を受けることになる。「私立探偵業法」なんてものはなかろうが、やはり「依頼主への忠実義務」ってものはあるでしょうよ。日当の二重取りでもするつもりなのかしらん。マーロウの場合私立探偵という「有料トモダチ」という立場への含羞みたいなものが、基本的な「探偵の立場」としてあるわけだが、スペンサーは依頼主無視で手前勝手にやりたい放題。評者、私立探偵に調査を依頼するんなら、スペンサーにだけは絶対に依頼したくないや。
でまあ、ミステリとしての出来がいいならまだしも、ヒネリもなにもなし。真相はお寒い限りで、しかも70年代の時台背景もあるのかないのか。過激派とヒッピーをちゃんと理解して書いているサイモン(モウゼズ・ワイン)とは雲泥の差。
なんでこんなものが人気だったんだろうね。理解不能である。「初秋」の頃には結構スペンサーのアンチがいた記憶があるんだけど、どこいったのかしら?

No.2 5点 2014/06/10 10:02
スペンサー・シリーズ第1作。
まだ恋人も仲間も登場していない。
スペンサーのキャラが、既読の『約束の地』や『初秋』のそれとはかなり違うように思う。女性に手が早く、荒っぽく、口が悪いマッチョ男という感じだ。しかも悪党にやられる場面もある。
これが当初作者が想定していた姿なんだろう。
その後の作品のスーパー・ヒーロー振りよりもましな気もするが、頭の中にイメージが出来上がっているせいか、これこそがハードボイルドのヒーロー像というわけにはいかない。

あらすじは、大学から手書き写本が盗まれ、それに絡んで殺人が起こり、被害者のガールフレンドが容疑者にされ、その容疑を晴らすためにスペンサーが雇われる、というもので、一応はミステリーになっている。
ギャングも登場し、撃ち合いもあり、ハードボイルドらしい流れになるのだが、ミステリーのプロットとしては物足らない。

主人公の日常はあまり描かれていない。このシリーズは、スペンサーの身の回りのサイドストーリーこそが特徴のはず。スーザンが登場してからのスタイルなのか?
ようするに、第1作は、その後の作品とはいろんな面で違っていた。

気に入って読んでいるシリーズではないが、読みやすいから読んでしまう。もうやめようと思いつつ、読んでいて膝を打つような何かが見つかればいいのになと思いながら続けている。

No.1 5点 2010/02/06 09:15
ハメット研究で博士号をとった人気作家ということで以前から気になっていたパーカーですが、今年1月18日に亡くなったのを期に、スペンサー・シリーズをまずはこの第1作からと思い、初めて読んでみました。
正直言って本作を読んだ限りでは、大学構内や学生たちの描写など、ハメット(やチャンドラー)の短い文章による的確な表現に比べると細々と書き込みすぎていて、ちょっと鬱陶しい感じがしました。スペンサーの軽口も、最初のうち度が過ぎていて鼻につきます。後半はそうでもなかったのですが。
チャンドラーのまねと批判されたこともあったそうですが、それは気になりませんでした。新人作家なら、巨匠からの影響は当然でしょう。プロットはチャンドラーよりすっきりしています。すっきりしすぎて、タイトルのゴッドウルフ写本(中世の貴重文献)の行方にしてもあっけなく、『長いお別れ』等に比べてもひねりがなさすぎるのが少々不満です。


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ロバート・B・パーカー
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