皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ その他 ] さかしま |
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| ジョリス=カルル・ユイスマンス | 出版月: 1975年03月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 桃源社 1975年03月 |
![]() 光風社出版 1984年01月 |
![]() 河出書房新社 2002年06月 |
| No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2026/10/12 14:29 |
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| でも普通人が面白がるようなことは、わたしにはちっとも楽しくないんですよ
これがテーマの小説(苦笑)澁澤龍彦の翻訳紹介で、日本の裏文学史上の必読級有名作となった、19世紀の美的生活者(オタク)が自分の愛好する物事を語りまくり、さらにはそれに中毒して健康を害して、引き籠り生活から脱出せざるを得なくなる話。事実上主人公フロルッサス・デ・ザッセント以外には登場人物が存在しない、という困った小説でもある。 健全なものはすべてダメ。カビが生えて腐りかけたものだけが至上の珍味。自然ではなく精緻かつ気難しく、矛盾を抱え込んだ「人工」のみが口に合う。そんなザッセントが自分の趣味だけで作り上げた田舎フォントネエに作った館。そこでザッセントは一人自身が愛好する絵画と文芸に囲まれて過ごす。第3章で紹介されるラテン文学、第12章のフランスのカトリック著述家たち、第14章のフランスの詩人たち、ここらへんに力が入っているんだけど、まあ14章のフローベールとかゾラとかリラダンとかマラルメとか、ここらへんくらいしかなじみ何てあるわけない。ルカヌスだペトロニウスだファルウ伯爵だヴイヨだとなってくると、さすがに手に余る(笑)でも澁澤の訳注がこんな話になるとがぜんリキがはいって、長々と注釈をしていくことになる。この「さかしま」っぷりが凄い。 それでも間奏曲のように、宝石をちりばめた黄金の盾の甲羅をかぶせられた亀の話とか、料理もなにもかも黒づくめの喪の晩餐会、ありとあらゆるリキュールを数滴づつ味わい口の中で「演奏」する口中オルガン、香水によってランドスケープを実現するなど、総合芸術的な奇抜なアイデアが盛りだくさんに紹介される。いやいいなあ。やってみたいよ(苦笑)でもこういうネタになると澁澤は訳注を入れないんだ。関心がないんだね(笑) サディズムは何よりまず、涜聖の実行、道徳的反逆、精神的放蕩、完全に観念的でキリスト教的な錯乱の裡にこそ存するのである。 とこの観念性のなかに「彼方」のジル・ド・レと黒ミサの予告がなされているようなものだ。だからこの「さかしま」が示した顛倒が、世紀末の近代オカルトの地ならしであり、なおかつ怪奇・オカルト小説を用意したとも読めると思うんだ。 |
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