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[ 本格 ]
時計殺人事件
ヴァルクール警部補
ルーファス・キング 出版月: 不明 平均: 5.00点 書評数: 2件

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論創社
2025年09月

No.2 4点 nukkam 2026/05/08 17:37
(ネタバレなしです) 米国のルーファス・キング(1893-1966)は1920年代後半から1930年代までは全11作のヴァルクール警部補シリーズの本格派推理小説が創作の中心を占め、1940年代からはサスペンス小説系の非シリーズ作品や短編ミステリーに力を入れたそうです。1929年発表の本書がシリーズ第1作です。英語原題は「Murder by the Clock」でジョン・ディクスン・カーの「死時計」(1935年)を連想する読者もいるかもしれませんが、拍子抜けすると言っていいほど時計に重要な役割が与えられていません。ヴァルクールが容疑者の1人から「人の心の中にありもしないことを見たり読み取ったりしている」と批判されていますが、そういう容疑者たちだって何を言っているのかよくわからないことしばしばで、とにかく会話がぎくしゃくしています。論創海外ミステリ版の巻末解説で二階堂黎人が意外性を誉めていますけど、こうも読みにくいと意外性以前に読者の謎解き意欲が削がれてしまうのではないでしょうか。

No.1 6点 人並由真 2026/01/02 22:32
(ネタバレなし)
 その年の春のある夜。NY市警のヴァルクール警部補が帰宅しかけたところ、署内に何やらただならぬ? 通報があった。どうやら富豪ハーバート(ハーブ)・エンディコットの美貌の奥方からの電話で、夫妻の自宅周辺で何か特別な事が生じているらしい? 同家に赴いたヴァルクールは、夫人から状況の説明を受けるが、そんな彼の眼前で事態はさらに思わぬ方向へと遷移していく。

 1929年のアメリカ作品。おなじみ? ヴァルクールものの第一弾で、黄金時代の一流半都会派パズラー。

 エンディコット家に赴いたヴァルクールが出くわす第1章ラストのサプライズから始まり、起伏に富んだストーリー……になるはずのところ、登場人物の描写も話の転がし方の演出も、どれも中途半端な練り込み不足感が強い。
 真犯人の暴かれ方や事件の構造の着想など、かなり面白くなる可能性は秘めてたんだけどね。
 ヴァルクールの部下の刑事チームがしっかりお話の流れに組み込まれるのも悪くはないし。
  そこ、もっと推そうよ、といいたくなる箇所を次々と雑に放り出して、それでも二流品としてはソコソコ面白いものはできた……?(でももったいない!)という感触である。

 エピローグの余韻も、謎解きミステリの技巧性と遊戯性が好きな送り手として、ちょっとハジけてみようとした(でもいまひとつキマらなかった……)感触はある。
 ひとばんの内に事件がおおむね片付いて、その時間経過が明記される趣向は確かに楽しいが、ミステリの謎や事件の構造とはあまり関係のない、ただ作者がやりたくてやった(読者を楽しませようとした)悪い意味で、単なるギミックだったのはちょっと残念。

 ただまあ、作者なりの茶目っ気は『不変の神の事件』同様に感じられる面もあり、前述の通り一級半~二級品の黄金時代パズラーとしてのそこそこの魅力は感じないでもない。
 高い期待はしないので、残りのシリーズの未訳分も、少しずつ出してください。


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ルーファス・キング
2016年04月
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