皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 真犯人はこの列車のなかにいる アーネスト・カニンガムシリーズ |
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| ベンジャミン・スティーヴンソン | 出版月: 2025年09月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
![]() ハーパーコリンズ・ジャパン 2025年09月 |
| No.2 | 8点 | 人並由真 | 2026/02/21 06:13 |
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| (ネタバレなし)
「ぼく」こと新進ミステリ作家アーネスト(アーニー)・カニンガムは「オーストラリア推理作家協会ブックフェスティバル50周年記念プログラム」の催事に参加し、同伴の恋人とともにイベント会場であるオーストラリア縦断の豪華列車「ザ・ガン」に乗車。3泊4日の日程の中で、錚々たる作家たちそのほかと対面した。なかでも最大の花形作家は、人気ミステリ「モーパント刑事」シリーズの作者として高名なヘンリー・マクダヴィッシュだが、作家、編集者、ファンたちが一堂に会する車内には、各自の思惑がひしめいていた。やがて車内で殺人事件が起きるが。 前作も結構面白かったが、今回はそれに輪をかけて楽しかった! 序盤からメタ的な記述を含めて外連味たっぷり、サービス精神豊富な趣向に加えて、多すぎも少なすぎもしない登場人物各キャラの交通整理が行き届き、謎解きミステリとしても、起伏に富んだストーリーテリングのエンターテインメントとしても非常に楽しめる。 (特に全体の3分の2辺りでの、イベントに流れ込むお話の作り方とか。) あ、あと出版界の業界ドラマ的なネタの豊富さの面でもあれこれオモシロイな。 で、真犯人はアーネストの謎解き完遂前に気が付いてしまったが、これは逆説的に探偵役の推理の明快さの裏返し。登場人物の頭数を無駄にせず、使いこなした作劇(と事件の構築ぶり)の冴え、そして名探偵の見せ場のハイテンションぶりにシビれる。 (その上でかなり強烈な、真犯人のキャラクターで動機であった。) 全体として、出来のいい時の中期~後期のクリスティーみたいな仕上がりで、お話の面白さとミステリとしての結晶度が実に良い感じで融合している。 9点に近いこの点数で。 シリーズ3冊目の邦訳を、慌てずゆっくりじっくりと心待ちにしよう。 |
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| No.1 | 6点 | nukkam | 2025/10/17 08:26 |
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| (ネタバレなしです) 2023年発表のアーネスト・カニンガムシリーズ第2作で、オーストラリアを縦断する豪華列車「ザ・ガン」を舞台にしているところはエマ・ダーシーの「殺され急ぐ女たち」(2002年)を連想させます。第1章で「本書はフェアな推理小説」と宣言し、さらには「犯人の名前はここから百三十五回出てくることを前もって知らせておこう」とまで宣言しています(もっとも解決編や後日談での回数までカウントしていますけど)。ただ「死体の数は九」は余計な宣言でしたね。死者数には過去の列車事故による死亡も含まれており、登場人物リストの人物が9人死ぬわけではないので。とはいえ第25章ではある人物を犯人候補から除外していますがその理由が「中盤まで登場しなかったため。フェアなミステリー作品の犯人ではありえない」というものですし、第31.5章が「読者への挑戦状」の役割を果たしていてフェアな謎解きにこだわった本格派推理小説です。作家イベントの中での殺人ということで駆け出し作家であり探偵役のアーネストの苦労と奮闘ぶりがよく描けています。ちょっと前例のない(少なくとも私は知りません)皮肉たっぷりのエピローグも面白いです。 | |||