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[ 本格/新本格 ]
白砂
鏑木蓮 出版月: 2013年06月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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双葉社
2013年06月

No.1 7点 斎藤警部 2025/03/12 02:08
「氷川きよしが歌ったからですよ」
「氷川きよし?」

エイプリルフールを挟んで繰り広げられた、倹しい生活を送る女子大生殺害事件と、実業家の遺骨盗難事件と、どうも何か他にまだあるらしい。

「同一指紋で、二種類?」

冒頭では何者かが “愛する者” の遺骨を水上にて散骨する。 骨太のメインストーリーに、妙によく似た構造の異物が差し込まれるサブストーリー、と一旦把握していたのだが。

「酷いです目黒さん。そんなに私を犯人にしたいのですか」

夫婦を中心とした家族の愛の細やかさがさりげなく描かれるのは美点。 とてつもなく切ない真相への予感は緩やかな加速を止めない。
被害者に届いた手紙から様々な推理推測をする一連の流れ、良かった。

一方で、きれいな文章の中で謎のもっさりユーモアがプチ暴走したり、物語の静謐な闇深さにそぐわぬスチャラカ感覚を撒き散らしたり、折を見て落語っぽい方向に行ったりもする。 居心地の微妙な、なんとなく作者が不慣れそうな?ある種ドタバタ悲劇(喜劇に非ず)へと雪崩れ込む流れもあった。

おっと、この章の語り手は一体,どなたですかな。。
本作の真相開示部はなかなか一筋縄で行かないな。 一回繋がったようで、まだまだ残される違和感の金箔ワールウィンド。 あの子の父親 ・・ 私たちの秘密 ・・
小説内疑心暗鬼の薬味を忍ばせ、NHKファミリーヒストリーを思わす多方面からの過去深掘りにはまだまだ奥がある。

「何だ、それ。ダークダックスの低音か、気持ち悪い」
「いえちょっと違います。ボニージャックスの低音です」

まさか、ありきたりの結末では ・・ と危ぶんだ心の緩みを見逃さず、最後の最後に、ミステリの弾薬が急遽供給を再開され、一斉に放射された。 目黒警部の隠し球は、著者の切り札は、しっかり在ったんだな。。 タイトルの意味合いに、まさか、そんな!
プロローグと、エピローグと、そして科捜研が暴き出した、あの骨にまつわるエピソード。 繋がった。 じんわりと沁みました。


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