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[ 警察小説 ] すべての罪は血を流す |
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S・A・コスビー | 出版月: 2024年05月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
ハーパーコリンズ・ジャパン 2024年05月 |
No.1 | 7点 | HORNET | 2024/09/29 21:32 |
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ヴァージニア州の高校で、卒業生が教師を射殺。犯人の黒人青年は、警察の呼びかけに対して校舎から出てきたが、彼もまた白人保安官に射殺される。人種対立の残る街がにわかに騒ぎ出す中、町の保安官・タイタスは捜査に乗り出すが、射殺された高校教師の携帯電話には、何人もの黒人の少年たちを惨殺する信じられない動画が保存されていた―
残されていた動画に記録されていた殺人犯は、高校教師・スピアマンと、射殺犯の黒人青年・ラトレル、そして狼のマスクをかぶった人物の3人。この「第3の人物」が本物語の事実上の「犯人」で、その正体を突き止めるという謎はある。 が、どちらかというと物語の主軸は、未だにアメリカに根強く残る人種差別と、とりわけその対立が色濃い田舎での激しい人間模様にある。主人公の保安官・タイタスは黒人で、彼に対する差別や非難は、レイシストの白人だけでなく、「白人社会に身を売った」という見方をする黒人からもある。両者からのそれぞれの不当な見方に挟まれ、苦悩しながらも、保安官としての矜持、人としての信念を貫いていこうとするタイタスの姿は力強い。 真相へたどり着く捜査・推理も、明らかになった真犯人も、読者が手がかりをもとに推理するような類のものではないので、フーダニットのミステリとは言えないが、殺人が重ねられていく動的な展開と、人種差別問題をとらえた濃いストーリーは魅力十分だった。 |