皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 短編集(分類不能) ] 「本当の自分」殺人事件 |
|||
---|---|---|---|
水木三甫 | 出版月: 2021年10月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 3件 |
幻冬舎 2021年10月 |
No.3 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2024/08/07 15:57 |
---|---|---|---|
ロアルド・ダール氏や阿刀田高氏を読んで、同じようなものを書いてみたいと思い作家になった旨。好みが一緒なので手に取ってみました。
①のぞみの結末 6点 あなたの望みを叶えますという手紙・・・愛憎劇。阿刀田氏がよく扱うモチーフ ②時間にまつわる物語 4点 時間を拾う看護師・・・辞書の「時間」。オチが今一つ ③雲を描く男 6点 絵の才能のある少年が選んだ職業は・・・伏線。わかりやす過ぎる ④不運な殺人者 7点 「私は殺される」という手紙を受け取った主人公は、差出人を尋ねるが・・・犯人判明後。ブラックな味わい ⑤未来から来た男 5点 人は死んだ後、別世界に行く。別世界からやって来た自分そっくりな人物は・・・新興宗教。ありがちなパターン ⑥「本当の自分」殺人事件 5点 12人も同姓同名の人物が殺された・・・動機。サイコ系の方が良かったかな? ④がベスト。全体にパンチ不足と感じた。まあ、短篇の名手と言われる前記二人と比べてしまうからなあ・・・。 |
No.2 | 7点 | ミステリーオタク | 2024/08/03 21:25 |
---|---|---|---|
帯に「ショートミステリーの新鋭」と称されている作者の6編からなる短編集。
《のぞみの結末》 複数の男女が入り塗れたドロドロの愛憎劇と巧妙な策略。そしてその結末・・・・幸せになったのは・・・ 《時間にまつわる物語》 8つの掌編で構成された作品。 始めの話を読んだ時にはその内容のなさに呆れたが、次の話に入って「繋がっている掌編集」であると知る。たわいもないファンタジーだが、子供の頃自宅にあった稲垣足穂という作家の「一千一秒物語」というファンタジー掌編集をふと思い出した。(必死に考えてやっとタイトルと作者名を思い出した!) 《雲を描く男》 この作者は本当にどんな話を書いてくるのか分からない。この話もどこへ行くのかと思えば・・・ソチラか・・ 伏線が凄いといえばスゴい。 《不運な殺人者》 ツカミはなかなか魅力的で展開も悪くないが、一体何があるのだろうと期待させられながら結末は割りとありがち。 《未来から来た男》 シビアな騙し合いだが・・・・ん?最後は一体・・・ 《「本当の自分」殺人事件》 これもなかなか面白い連続殺人事件が提示されるが、真相というか動機はあまり唸らされるような物ではなかったかな。 初読みの作家だったが、淡々としてドライでありながら内容の濃い文体で読者を予想のつかない流れへ導く、ミステリファンならワクワクしながら読める短編集ではないかと感じた。 特に細切れ読みが多い自分には一つ一つの話が短編としても比較的短く、また各作品の中でも章分けが細かい、というか区切りが多いのも嬉しかった。 まだ短編集を二冊出しただけの作家のようだが、好みに合っている気がするので今後に期待したい。(と思って少し調べたら新鋭という割には、余計なお世話ながらなかなかのお歳で・・) |
No.1 | 8点 | メルカトル | 2024/06/15 22:23 |
---|---|---|---|
次々と報道される殺人事件の被害者は、同じ名前の人物ばかり。
恐怖におびえる全国の「山本和義」は、SNSを通じて繋がっていく。 犯人の真の目的とは――。(「本当の自分」殺人事件) 表題作ほか、「のぞみの結末」「時間にまつわる物語」「雲を描く男」 「不運な殺人者」「未来から来た男」6編の短編ミステリー小説集 Amazon内容紹介より。 文庫で176ページで税込み880円とはまたボッタクリじゃないかと思いますよね。随分強気な商売するな、これじゃ売れないだろうとなりますね。しかし、私にはこの法外な値段設定も気にならない程楽しめました。勿論、適正価格で売って欲しいとは思いますけど。それにしても、最初の作品を読んだ時、この人の頭の中はどないなってんねんってなりました。 『のぞみの結末』 よくある痴情の縺れなのかと思いきや、とんでもない展開に雪崩れ込んでいきます。8点 『時間にまつわる物語』 時間を拾って患者に与える看護師の物語。7点 『雲を描く男』 幼少時から雲を描くのが大好きで、絵心のある主人公が選んだ意外な道とは。オチが見事に決まってます。8点 『不運な殺人者』 「5月7日に私は殺されます」という奇妙な予告状を受け取った主人公の行動。7点 『未来から来た男』 新興宗教の教祖に瓜二つの男が未来からやって来て。7点 『「本当の自分」殺人事件』 全国各地で山本和義が殺される。怯える同名の主人公が取った行動とは。8点 全体的に多視点から描かれているのが特徴だと思います。総じて作者の目指す奇妙な味の話や不条理劇が多く佳作以上揃いで、どれも面白く読みました。文章も読みやすいしお薦めです。しかし、ちょっと甘目な採点となっているかも知れませんので、高い買い物だったと苦情を申されても責任は負いかねますが。 |