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[ 本格/新本格 ]
小酒井不木集 くらしっくミステリーワールド 第6巻
小酒井不木 出版月: 1997年02月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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リブリオ出版
1997年02月

No.1 7点 メルカトル 2023/08/03 22:49
普通の単行本より一回り大きく、文字がデカい。しかも全ての漢字にルビが打たれており、親切過ぎて逆に読み難かったりします。最早短編集を読んだ気がしません。もっと大作を読んだ後の様な充足感があります。
収録作は『闘争』『恋愛曲線』『愚人の毒』『安死術』『人工心臓』の5作。一番面白かったのは最初の『闘争』ですね。これが最も本格度が高く、意外性という点でも高評価に値するでしょう。古臭さを感じさせない筆致と言い、全ての短編で医学者でもある作者の知識を駆使し、医療ミステリとして完成度の高さを誇示している異色の作品集だと思います。

また、『恋愛曲線』と『人工心臓』は姉妹作との位置付けと考えても良いでしょう。後者の実験的な作風を前者で昇華させたと云った関係性が見られます。どちらも医学に詳しくなければ書けないもので、心臓に対する作者の並々ならぬ思いがギュッと詰まった佳作にして怪作と言えそうです。


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小酒井不木
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