海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
ヘシオドスが種蒔きゃ鴉がほじくる
小峰元 出版月: 1984年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


講談社
1984年01月

No.1 6点 nukkam 2023/05/31 08:00
(ネタバレなしです) 小峰元(1921-1994)は「アルキメデスは手を汚さない」(1973年)以降の長編ミステリーが知られていますが元々は短編作家だったそうです。「アルキメデス」以前にどれだけの短編を書いたのかわかりませんし入手して読むのも困難なようですが、1981年発表の本書は1979年から1980年にかけて雑誌掲載された8作のユーモア本格派推理小説を収めた短編集なので短編作家としての実力を推し量るのには適材かと思います。講談社文庫版の風見潤による巻末解説では「連作長編」と評価していますが同じ探偵役(72歳の祖母(作中表記はバアチャン))と語り手(孫の大学受験生)が全作で活躍し、先行作の登場人物が後発作で再登場したりしていますが作品全体にまたがる仕掛けはあまり感じられませんでした。この作者としては謎解き手掛かりに配慮して推理に主眼を置いた正統派の本格派揃いで、ヘシオドスおたくの祖母の教育的指導がなかなか愉快です。語り手の孫が内心ではぶつぶつ不平を言いながらも「一家の平和のために」愛想よく振舞っているので小峰作品としては最も雰囲気が穏やかな作品ではないでしょうか。他愛もない謎解きもありますけど、最終作の「マツタケは食いたし命は惜しし」は複雑なプロットでなかなかの力作です。


キーワードから探す
小峰元
1987年03月
ホメロスの殺人方程式
平均:3.50 / 書評数:2
1984年10月
クレオパトラの黒い溜息
平均:4.00 / 書評数:1
1984年01月
ヘシオドスが種蒔きゃ鴉がほじくる
平均:6.00 / 書評数:1
1983年05月
青春抒情死抄
平均:4.00 / 書評数:1
1979年05月
パンドラの恋愛能力共通一次テスト
平均:2.00 / 書評数:1
1978年11月
ヒポクラテスの初恋処方箋
平均:3.50 / 書評数:2
1977年10月
ディオゲネスは午前三時に笑う
平均:5.60 / 書評数:5
1977年05月
パスカルの鼻は長かった
平均:2.00 / 書評数:2
1977年03月
親不孝のすすめ 青春の独立宣言
平均:3.00 / 書評数:1
1977年01月
プラトンは赤いガウンがお好き
平均:2.00 / 書評数:1
1975年03月
ソクラテス最期の弁明
平均:4.75 / 書評数:4
1974年04月
ピタゴラス豆畑に死す
平均:4.67 / 書評数:3
1973年01月
アルキメデスは手を汚さない
平均:4.25 / 書評数:16