皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 孤島の十人 |
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グレッチェン・マクニール | 出版月: 2023年03月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 2件 |
扶桑社 2023年03月 |
No.2 | 5点 | 人並由真 | 2023/04/23 15:05 |
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(ネタバレなし)
カミアック高校の女生徒メグ・プリチャードは、少しややこしい関係の同性の友人ミニー(ミンス)とともに、フェリーで外洋の孤島に向かう。島にはスクールカースト上位の女生徒ジェシカ・ローレンスの父親が所有する別荘があり、そこで複数の高校生を集めたひそかな合宿パーティが開催される予定だった。だが集まった面々のなかには、メグの訳ありの元カレも予想外に参加しており、彼女は落ち着かない気分になる。そして、嵐と何者かの妨害によって外界との交信を遮断された島では、流血の惨劇が始まる。 2012年のアメリカ作品。 邦訳文庫の売り文句どおりに『そして誰もいなくなった』オマージュなのは間違いないが、「十三日の金曜日」系のカントリー・スプラッターものの趣も強い。 タイトルロールの主要人物10人の高校生はそれなりに書き分けられ、特に大柄な粗暴タイプかと思いきや、実は校内では人気者で意外な一面を見せる男子ネイサンなど、ちょっと面白い。あと、殺人者の仕掛けた仕込みの罠のひとつは、軽くぞっとさせられた。 とはいえミステリとしては、本当にアレな作りで、解説の千街氏の語る「ヤングアダルト層に向けた古典名作のカジュアルな翻案」という修辞は、正に言い得て妙。 世の中の若い読者が、『そして誰もいなくなった』より先にこっちを読んでしまう事態だけは、極力起こらないようにしてほしいと切に願う。 まあ、こういう方向で、世の中にミステリが量産されるようになったら、もう創作文芸としてのお兄ちゃ……いや、ミステリはおしまい! かもね。 (逆に言えば、ごくごくごくタマになら、いい……のか? まあ読者がそう割り切って、心得て読む限りは?) |
No.1 | 5点 | 文生 | 2023/03/20 09:08 |
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孤島の別荘に10人の高校生が遊びに来たところ、突然、恨みを記した不気味な動画流れ始める。そして、惨劇が...。
現代のティーンエイジャー向けに書かれた『そして誰もいなくなった』といった趣の作品なのですが、サスペンスホラーとしては悪くありません。殺し方にも工夫を凝らし、テンポの良い物語を手なれた筆致で盛り上げていきます。一方、ミステリーとしてはそれなりにまとまってはいるものの、トリックなどがオマージュ元から1ミリも進歩していないのはいただけません。日本のクローズドサークルミステリーを読みなれているとどうしても物足りなさを覚えてしまいます。 |