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[ クライム/倒叙 ] ロリータ |
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ウラジーミル・ナボコフ | 出版月: 1959年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
河出書房新社 1959年01月 |
河出書房新社 1962年01月 |
新潮社 2005年11月 |
新潮社 2006年10月 |
新潮社 2019年10月 |
No.1 | 6点 | 虫暮部 | 2023/01/06 11:21 |
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実際に読んでみると、とても本書が “スキャンダラスなベスト・セラー” だったとは思えないのである。コレからそこまでのものを読み取れた当時の読者は凄かった。何が?
期待したようなエロティックなものでは全然ない。語り手ハンバートの煮え切らなさと保身、時たま頭に血が昇って起こす行動の突拍子の無さ、ばかりが前面に出ている。ロリータは決して無垢なだけのキャラクターではないが、かといってその早熟さも案外印象が薄く感じた。悪くはないが、長過ぎ。 ところがラスト4分の1くらい、ロリータが消え去って以降が、坂を転げ落ちるような面白さ。あの手紙はショッキング! そして、“陪審席のみなさん” 云々の記述による基本設定について、ずっと騙されていたことに気付く。それこそ『アクロイド殺し』ばりの叙述トリック。いや、“少女との逃避行” って時点で犯罪か。じゃあ全編クライム・ノヴェルか(笑)。 |