皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 窓辺の愛書家 ハービンダー・カー部長刑事 |
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エリー・グリフィス | 出版月: 2022年08月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
東京創元社 2022年08月 |
No.2 | 7点 | 人並由真 | 2022/10/21 18:08 |
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(ネタバレなし)
英国のサセックス地方。老人たちが集うコテージ「シービュー・コート」で90歳の老婦人ペギー・スミスが急死した。高齢ながら頭脳も体も健勝で、大のミステリファンでもあった。そんな彼女は複数の作家とも親交があったが、なぜか「殺人コンサルタント」なる物騒な異名を授かっていた。36歳で独身の女性部長刑事ハービンダー・カーは相棒の中年刑事ニールとともに、ペギーの死に事件性を認めて捜査に乗り出す。さらにペギーの介護士だった27歳のウクライナ美人ナタルカ・コリスニクも32歳のボーイフレンド、ベネディクト(ベニー)・コール、そして年長(80歳)の友人である紳士エドウィン・フッィッツジェラルドとともに、アマチュア探偵チームとして事件を調べるが。 2020年の英国作品。 両親がインド生まれの英国二世である女性刑事ハービンダーを主人公とするシリーズの第二弾。 前作『見知らぬ人』は、日本のミステリファンの間でも評価が割れて、本サイトではやや評価は低め? かくいう評者なども高評の方を先に目にして期待して読んで、なんだこんなものか、ではあった(……)。 そういう意味では今回はその逆パターンで、あのエリー・グリフィスの次の作品か、ま、読んでおくか、ぐらいだったのだ。 で、結局、その低い期待値がかえって功を奏したせいか、かなり面白かった(笑)。 キャラクターにしてもハービンダーの個性や素性が着実に深掘りされる一方で、もうひとつの主人公チームといえるアマチュア探偵団がしっかりと活躍。 訳ありで英国にやってきた美人ナタルカに対し、まるで高校生みたいな純情な思いを寄せる童貞青年ベネディクトも、元BBC局員で20世紀から同性愛者だった老紳士エドウィンも非常に好キャラで、彼らといっしょに事件や物語の流れに関わっていくのがとても楽しかった。 (素直に恋愛模様を応援したくなった作中の男女としては、このベネディクトとナタルカが、今年の海外ミステリ中でも上位にくると思う。)シリーズ次作以降でもまた、現代のトミイとタペンス的な彼らの再登場と活躍を期待したいところ。 ミステリとしては例によって、やや長すぎるんじゃない? というところも無きにしも非ず。 だが、出版界にからむ多様な登場人物の出し入れが自在で場面場面の細かい動きも多いので、意外に退屈はしない。 <意外な真犯人>に関しては、個人的には前作と違った意味でやや強引さを感じたが、ここが伏線でした、ここに手掛かりがあった、と真相発覚後にアピールしてくるし、まあ良しとしよう。 いずれにしろ、それなりに楽しめそうなシリーズに今作で大きくシフトした。 評点は0,5点くらいオマケ。 |
No.1 | 5点 | nukkam | 2022/08/28 17:54 |
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(ネタバレなしです) 「殺人コンサルタント」の名刺を持っていた90歳の老婦人の死で幕開けする2020年発表のハービンダー・カー部長刑事シリーズ第2作の本格派推理小説です。アマチュア3人組の捜査とハービンダーの捜査が描かれているのが特徴で、人物描写が丁寧です。ロシアによるウクライナ侵攻より前に書かれた作品ですが、登場人物のウクライナ人がロシア・マフィアに怯える描写は書かれた時代を感じさせますね。創元推理文庫版の巻末解説で評価されている、重要なてがかりや犯人を指摘するための決め手となる描写については前作の「見知らぬ人」(2018年)より進歩しているとは思います。しかしどんでん返しを狙っていたにしても、ハービンダーが上司に推理を報告していながらすぐ次の章で「しばらくまえからあやしいと思ってた」と違う推理を披露しているのは不自然な感じもします。 |