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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
三銃士
ダルタニャン物語
アレクサンドル・デュマ 出版月: 1962年01月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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KADOKAWA
1962年01月

講談社
1968年01月

講談社
1975年01月

No.1 7点 クリスティ再読 2022/07/23 15:37
デュマは登録だけあって、誰もやってないんだ....うん、じゃあやろう。もちろん、20世紀に至るまでエンタメでは影響力絶大の小説。
いわゆる「三銃士」は三部構成、邦訳11冊にもなる大河ドラマで、全体の通称としては「ダルタニャン物語」の方がいいだろう。第一部が「三銃士」で、邦訳は「友を選ばば三銃士」「妖婦ミレディーの秘密」の2冊になる。

ガスコン出身の若者ダルタニャンが華のパリに出てきて、マスケット銃で武装した近衛隊のマスケット銃士の三人組、アトス・ポルトス・アラミスと意気投合し、銃士隊長のトレヴィル殿に目をかけられ、不運な王妃アンヌ・ドーリッシュの肩を持って、陰険な宰相リシュリューの鼻を明かす明朗快活な冒険小説...というのが、パブリック・イメージなんだけども、実は結構、違う。
マトモに歴史小説の部分も強いから、敵役リシュリューも清濁併せのむ大物だし、三銃士が味方する王妃アンヌの恋人バッキンガム公爵はフランスの内乱に介入するイギリスの宰相だから、敵方といえば敵方でもある。三銃士とダルタニャンはもちろん、フランスの宗教戦争に絡んでイギリスが介入するラ・ロシェル包囲戦で手柄を立ててダルタニャンも晴れて正式に銃士の仲間入り....

意外なくらいに善玉・悪玉のはっきりしない小説なのである。実はダルタニャン自身も結構な策略家であり、平気で敵を騙す。若いのに目端が利いて、食えない男なのである。三銃士も明朗快活なのはポルトスだけで、アトスは冷静沈着だが秘められた過去からニヒルなキャラ、アラミスは根暗タイプでホントは修道院に入りたがっている....で、この三銃士とダルタニャンは友情で結ばれながらも、第二部・第三部ではそれぞれ敵味方に分かれて戦うことになる。

さらにこの第一部で一番印象的なキャラクターはダルタニャンとアトスの宿敵である妖婦ミレディー。リシュリューの手先ではあるのだが、有能なスパイで口先三寸で人を騙し、人殺しを何とも思わぬ女。ゆく先々で死体がゴロゴロ...というとんでもない悪女。しかし、今の視点で見たら、実はこのミレディーが一番ウケるキャラかも?なんて思わせるくらいに、悪のカリスマ的な生彩があるんだよね。このミレディーが「恥をかかされた」と復讐の念でダルタニャンの命を狙い、さらにアトスとも深い因縁、さらにイギリス側で交友を持つウィンター卿とも因縁が....でも、フランスの軍事的なピンチをリシュリューの命を受けたミレディーが救っていたりする。

なので、読後けっこうモヤモヤする小説でもある。三銃士たちが敵味方に分かれる第二部・第三部もそうなんじゃないのかしら。

このシリーズ、気長にやっていきましょう。鉄仮面で有名な第三部なんて文庫本6冊だよ~


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