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[ クライム/倒叙 ]
知能犯之罠
紫金陳 出版月: 2019年05月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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行舟文化
2019年05月

No.1 7点 猫サーカス 2022/05/04 18:24
数理論理学の天才であり、犯罪心理学を修めたアメリカ帰りの男、徐策。彼は今、街路の防犯カメラを欺き、逮捕を免れるはずの「完璧な殺人」のために二週間以上を調査に費やした。犯人は予め明示されている倒叙ミステリのスタイルで、その殺人動機も早い段階で提示されるため、どうやって中国の防犯カメラネットワーク「天網」を欺いたのか、というハウダニットへの興味が物語を牽引することになる。トリック自体は種を明かされれば目新しいものではないが、徐策の壮大な完全犯罪の仕掛けは、中国という国家を舞台にしているからこそ、実現し得るもので非常に興味深い。本作は二〇一二年にネット上の掲示板に連載された作品だが、中国政府の検閲で削除されていないというのが不思議なほど挑発的な作品だ。中国政府の推進する天網を含むAIによる監視システムをいかにして無力化するかという物語であり、かつ公安官僚は悪役として描かれ、彼らの利権に目ざとく保身的な思考回路が描かれている。徐策の殺人動機、そして事件の結末さえも現代の中国の秩序を脅かす挑戦的に思えるのだ。結末を通して見える景色は、中国式とでも言うべき恐るべき物語に仕上がっている。


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紫金陳
2019年05月
知能犯之罠
平均:7.00 / 書評数:1