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[ 本格/新本格 ]
虚構推理 逆襲と敗北の日
岩永琴子シリーズ
城平京 出版月: 2021年12月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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講談社
2021年12月

No.1 6点 人並由真 2022/03/05 07:33
(ネタバレなし)
 小説版としてのシリーズ最新刊。
「容疑者が自分の犯行を示威したがる? 刺殺事件」という短編(ホワイダニットの謎)、そして山中に現れた巨獣の亡霊事件にからむ中編、実質2つのエピソードで構成されている。例によって先にコミック版で刊行されたおひいさまの事件簿の後発・小説版のようである
(評者は小説の方しか読んでないが)。

 前者はチェスタートンっぽい真相が語られるが、シリーズの中では比較的、地味な印象。
 後者はハウダニット、ホワイダニットなど複合的な謎を組み合わせた中身だが、真相はちょっと思うところあり。
 どちらにも九郎の従姉妹の六花がしっかりからんでくるが、劇中での彼女の立ち位置はこれまでのポジションとちょっと変化を見せている。これ以上はここでは言わない。

 しかし本巻の眼目は、むしろ別の意味でのメインキャラクターたちの関係性の推移で、ああ、こういう方向にいくかと軽く、いや相応に驚いた。なんかシリーズの過渡期の緊張感という意味合いで、アダルトウルフガイなら『人狼天使』辺りを読んだタイミングのような気分だ。

 緩慢にダラダラシリーズを続ける気はないと意志表明した作者の気概を感じるが、読み手としては複雑な思いにも駆られる。しばらくは本シリーズ(小説版)から目が離せない。


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