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[ SF/ファンタジー ]
銀河の間隙より
ランドル・ギャレット 出版月: 1979年12月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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早川書房
1979年12月

No.1 6点 人並由真 2021/06/15 04:10
(ネタバレなし)
 人類が「大殺戮(ホロコースト)」と呼ばれた世界大戦の傷痕から、どうにか立ち直った21世紀。すでに地球人は太陽系の各所にもコロニーを設けていた。そんななか、地球に1隻の宇宙船が漂着。ムカデのような昆虫のような異星人「ナイブ」は一旦は政府の管理下に置かれるが、文化の齟齬と意志の不通から脱走。その後10年、ひそかに地下に潜伏するナイブは、とある目的を求めつつ、多数の地球人の生命を奪い続けていた。一方で新世界の法規機関「世界警察」は5年間の歳月と科学技術の粋を費やし、対ナイブ用の超人戦士バート・スタントンを育成する。そしてかたやアステロイドベルトでは、太陽系最高の名探偵と呼ばれる青年スタンリイ・マーティンが、ナイブ捕縛のために地球に招聘されようとしていた。

 1963年のアメリカ作品。
 異世界パズラーの始祖(?)「魔術師ダーシー卿」シリーズの作者ランドル・ギャレットが、別名義ダレル・T・ランガードで上梓したファースト・コンタクトテーマのSF。日本ではおなじみギャレット名義で翻訳刊行された。ちなみに早川SF文庫の裏表紙には「侵略テーマ」SFと謳ってあるが、ファースト・コンタクトものの方が近いように思う。

 なぜナイブは逃走したか、いわくありげな主人公バートの素性とは何か? 名探偵マーティンとバートの関係は? そして本筋の物語の合間に何回か間奏的に挿入される過去エピソードの意味は? などなどSFミステリっぽい興味が矢継ぎ早に用意され、読者の関心を休む間もなくフックし続ける。
 なかには割と早めに事情や真実が明かされたり、一方でやや曖昧に内情が語られて終わるものもあるが、主人公とナイブの対決の行方、そして一番大きな物語の真実は、最後まで伏せられている。
 作者が最後の最後に、この物語のどこに力点を置いたか、それを確かめるのが、読者が本作にラストまで付き合う意味であろう。

 外宇宙の知的生物との接触を60年代SFらしい文法でかなり丁寧に語り、さらにもうひとつ主人公サイドに秘められた趣向でSFビジョンを広げる。短いながらもなかなか読み応えがある作品。ただし60年代SFという意味でのクラシック感も、良くも悪くも感じたりもした。
 この辺の軽いもやもや感は言葉にしにくいのだが、あえて言うなら最後のサプライズに読み手を誘導して完結するまっとうさが、直球すぎたというか。もしかしたら、かなりゼータクなことを言い過ぎているのかもしれない(汗)。
 佳作~秀作には十分になっていると思うけれど。


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ランドル・ギャレット
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