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私の中にいる
黒澤いづみ 出版月: 2020年09月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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講談社
2020年09月

No.2 5点 メルカトル 2025/11/27 22:22
母子二人暮らしのアパートで発見された、女性の変死体。亡くなっていたのは母親、そして殺してしまったのは、日々虐待を受けていた小学生の娘だった。事件以降、“人”が変わったような言動をとりはじめる少女。何かが、おかしい。原因は過度の精神負荷による、解離性同一性障害……多重人格のせいなのか。では――「私の中にいる」のは、誰? 『人間に向いてない』で注目の著者が、読者に突きつける社会の底。
Amazon内容紹介より。

これぞ暗黒小説。ホラーというかイヤミスというか、兎に角真っ暗な雰囲気で、読むのに嫌悪感を覚えました。これを楽しいと感じる読者は余程の本好きなのだと思います。しかし、油断していました。こんな事になろうとは夢にも思いませんでした。これをどう着地させるのかで評価が決まるだろうと考えていましたが、そっちか!と想定外の変化球と言うべき、驚きの展開が待っていました・・・。

まあしかし、特に後半は説教臭い、そして理屈っぽいので終始うんざりした気分で読まざるを得ない感じになります。何でこうなるんだろう、と思う時点である意味作者の思惑通りに心に大きなダメージを負った形となった気がします。読まなければ良かったとは思いませんが、決して生きる希望が見えてくるような小説ではありません。

No.1 6点 HORNET 2020/11/03 16:43
 10歳の少女、羽山萌果は、自分を疎んじる母親からの虐待を受ける中、自己防衛のために殺してしまった。児童自立支援施設に入所させられた萌果は、指導員たちに更生に向けた指導を受けることになるが、学校在学中は「無口で内気な子」だったはずの萌果が大人びた理屈で反抗ばかりする問題児に。萌果の内面で何が起こっているのか…別の施設に移り、少しずつ心を開いていった萌果が語った驚きの内容。

 このテの題材を扱ったものはこれまでにもごまんとあるが、今までにない切り口で仕掛けられている面白さがあった。ただ、萌果の内実が明らかになってからの後半はある意味順調な展開で、間延びした感もあった。実吉野学園の指導員、齋藤の価値観・考え方が興味深く、物語に深みを与えている。


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黒澤いづみ
2020年09月
私の中にいる
平均:5.50 / 書評数:2
2018年06月
人間に向いてない
平均:6.50 / 書評数:4