皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] ヘル・ホローの惨劇 アゼイ・メイヨシリーズ |
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P・A・テイラー | 出版月: 2020年08月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
論創社 2020年08月 |
No.1 | 6点 | nukkam | 2020/09/11 21:25 |
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(ネタバレなしです) 1937年発表のアゼイ・メイヨシリーズ第10作の本格派推理小説です。町を挙げてのふるさと祭りを目前にして不穏な出来事が相次ぎ、ついには殺人事件まで起きます。論創社版の巻末解説では高級リゾート地でも世界恐慌(1929年)の影響から免れられないと社会描写を評価していますが深刻になるほどではありません。ユーモア本格派推理小説の本質をきちんと貫いています。世界恐慌の影響ならジル・チャーチルのグレイス&フェイヴァーシリーズの方がもっとしっかり描けています(但しこちらもコージー派なのでユーモアが勝りますが)。犯人捜しをしてはいるのですが、警察がこいつが犯人ではと目星をつけるたびにアゼイが「その人は犯人ではありませんよ」とひっくり返すシーンがたびたびあって、解決に向かっているのかわからなくなるのが本書の個性です。祭りの直接描写はほとんどありませんが賑やかな雰囲気はよく出ており、シャーロット・マクラウドの「蹄鉄ころんだ」(1979年)を彷彿しました。 |