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[ 短編集(分類不能) ] 潤一郎ラビリンス〈10〉分身物語 |
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谷崎潤一郎 | 出版月: 1999年02月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
中央公論新社 1999年02月 |
No.1 | 5点 | 蟷螂の斧 | 2020/03/02 21:03 |
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乱歩によれば、横溝正史の「鬼火」の一部に、本作中の「金と銀」の類似があるとのことです。一部とはどの程度か?で手にしてみました。
①「金と銀」 6点 天才的な青野と、その才能に嫉妬する大川。二人は画家で同じモデルを描く。その後の二人の関係は?・・・。作中で「ウィリアム・ウィルスン」(ポー)に触れていることから、「分身」のイメージを膨らましたのかもしれません。ラストは著者が13歳の時に読んだという哲学者プラトンの理論へ?・・・ ②「AとBの話」 5点 AとBは従兄弟で文学の道を志す。Aは善人思想、Bは悪人思想。二人の行方は?・・・ ③「友田と松永の話」 4点 松永が四年ごとに姿をくらます。その理由は?・・・ (余談)大正九年、谷崎は「途上」を発表。それを乱歩が「プロパビリティの犯罪小説」と絶賛。しかし、谷崎は大変迷惑そうにして「殺される妻の悲劇を見てほしい」と言ったそうです。「探偵小説」と呼ばれることを嫌ったエピソードですね。また横溝正史から「新青年」への掲載依頼を断り続けていた点からも頷けることです。「途上」「私」などの評価でトリックなどと言われていますが、本人はそのつもりがなかったわけですからどうなんでしょう?。探偵小説への影響はそのようなことではなく、乱歩、横溝の御大二人が、谷崎の猟奇的、耽美的な作風を引き継いだという点が大きいと思うのですが・・・。(敬称略) |