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[ 本格/新本格 ]
武蔵野殺人√4の密室
水野泰治 出版月: 1987年12月 平均: 5.00点 書評数: 2件

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講談社
1987年12月

講談社
1993年06月

No.2 6点 人並由真 2021/09/21 15:30
(ネタバレなし)
 その年の3月中旬、警視庁捜査一課に所属する26歳の美人刑事・鮎川阿加子は、上司の課長で48歳の宮脇岩友とラブホテルで濃厚なセックスを楽しんでいた。その情事の最中、宮脇にポケットベルの呼び出しがある。東京と埼玉の県境の朝霞で、数百億円の資本金の大企業「徳永興業」の会長で77歳の未亡人・徳永志保が殺されたらしい。しかも彼女の邸宅「土筆庵」の敷地内の殺人現場は密室状況だった。濃密な人間関係を巡って憎悪の念と欲望が渦巻くなか、やがて事態は徳永興業の母体である八雲一族周辺での、連続密室殺人事件へと移行する。

 nukkamさんのレビューを拝見して興味を惹かれて、ネットで注文した講談社文庫版の古書で読了。
 冒頭のポルノ描写は笑いながら読んだが、中身の方はいろんな意味で破天荒というかパワフルな作りのパズラーで、途中から襟を正してページをめくる。
 特に中盤の展開はなるほどショッキングで、nukkamさんのおっしゃる通りに文庫版の裏表紙のあらすじは見ちゃダメ。評者はせっかくのご注意を失念しておりました(すみません)が、なんとか回避して本文を読了しました。

 読んでいる最中に、あ、ココは伏線だな、という箇所が二つ三つ目につくのだが、そのあとのジェットコースター的な展開に目を奪われているうちに忘れていた。こちらがうっかり屋さんなのはたしかだが、ある意味ではよくできている? といえるかもしれない。

 密室状況がバラエティに富んで、しかも一部はかなり特殊な構造というか屋内施設でのもの(ちゃんと主要なものには図面入り)。
 さらに20数年前の故人の幽霊騒ぎなどもからんで外連味は十分だが、肝心の密室を作る意味がもうひとつ見えないような……。
 あと最後のサプライズは、作者的にはちゃんと当初から構想はしていたものなんだろうが、うーん、これはアリか? まあオモシロかったが。
 とにもかくにもいびつなパワーは随所に感じさせる一作。水野作品はこれが初めてだが、もうちょっと読みたくなってまた古書を購入してしまった。評点は7点にかなり近いこの点数で。

No.1 4点 nukkam 2020/02/17 21:45
(ネタバレなしです) 1987年発表の本格派推理小説で、大富豪の女性が密室で殺され容疑者の大半がその一族という古典的な設定です。中盤に意外な展開があるのですが私の読んだ講談社文庫版では裏表紙の粗筋紹介でネタバレされているのでせっかくの意外性が台無しです(もったいない)。プロットにもトリックにも凝った仕掛けが用意してあり、手がかりのカモフラージュにも技巧を見せるなど謎解きに関してはなかなか力が入った作品です。とはいえいきなりベッドシーンで物語が開始したり、下品きわまりないせりふが挿入されたりと通俗色が濃厚すぎる作風は私には合いませんでした。


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水野泰治
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