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[ 時代・歴史ミステリ ] ハリウッド・バビロン Ⅱ |
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ケネス・アンガー | 出版月: 1991年03月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
リブロポート 1991年03月 |
パルコ 2011年03月 |
No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2019/12/03 22:21 |
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映画を映写する時には、コマとコマの切り替わりの間に、暗黒の時間が流れている。そうしてみると、映画を見るというのは、映画の映像のある時間と同じくらいに、暗黒を眺めて過ごしているのである...なんてセリフを昔聞いたことがある。まさに本作、その通りの作品である。映画のスターの輝きは、そのまま暗黒なのである。
Ⅰに引き続き、ハリウッドのスキャンダルを総まくり。Ⅱは80年代までカバー。労組を基盤に暴力支配したウィリー・バイコフとその末路、ダンス振付で一時代を築いたバスビー・バークレーの栄光と没落、執拗に列挙される自殺者列伝、デブデブ太ったリズ・テイラー、死んでいるマリリン・モンロー、最後はハリウッドを売って大統領に上り詰めた二流俳優ロナルド・レーガン。やはりⅡでショッキングなのは、例の「ブラック・ダリア事件」の見事にちょん切れた現場写真が二枚入っていること。そして、マゾヒストでシラミ持ちのジェームズ・ディーンの性癖。「人間灰皿」だそうだ。 総じてⅠに比べると、繰り返しもあるし全体にパワーダウン。でもニッコリ微笑むスターの写真の裏に、血みどろの地獄絵図を反射的に想像させるような悪意はたっぷり。古き良き呪いの書である。そうはいってもね、ゲイ丸出しの元スター、ウィリアム・ヘインズの映画スターとしての挫折と室内装飾デザイナーとしての再出発と成功の話「白い軍団と紫のプードル」が、ハリウッドの魔物に「一杯食わせた」ような爽快感がある。たぶんアンガーは自身の挫折をこのヘインズに重ねていたんだろうね。 映画とミステリ、双方の関心で必読級の奇書である評価に変わりなし。 |