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地下室の手記
別題『地下生活者の手記』
フョードル・ドストエフスキー 出版月: 1947年01月 平均: 8.00点 書評数: 1件

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思索社
1947年01月

河出書房
1950年01月

新潮社
1968年05月

新潮社
1970年01月

新潮社
1978年07月

No.1 8点 小原庄助 2018/06/08 13:13
この作品を読んだのは、高校時代の定期テスト前夜だった。その内容と文体がいかに私の全身に染み渡ったか、奥付までのすべての文字をいかに貪るように味わったか、読了時にふと見れば、窓の外にまったき無音の闇夜が広がっていたその印象も含め、当時の心の動きを私は、鮮烈に覚えている。
よく議論の的になるのは、本作の2部構成の前半部であるが、私の心が揺さぶられるのは、昔も今も、より野暮ったい後半部のほうだ。より情緒的で物語的な、くどくどしい、自己言及と自己嫌悪に満ち満ちた第2部。ある種の自虐的喜びをもって痛快に読んだ。
物語のクライマックスもまた素晴らしい。いったん幸福感の頂点に至りながら自らそれを崩す。わが身にとっての幸福とはまやかしの瞬間芸にすぎないことを、彼はよく知っているからだ。
私の魂の一部はいまだ、あの試験前日の午前3時に漂っている。あのペテルブルグの地下室に進んで囚われている。あの夜更けに受けた衝撃を、呪いを、救済を、他の誰かに受け渡したくて仕方ない。


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フョードル・ドストエフスキー
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