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[ SF/ファンタジー ]
天冥の標Ⅱ 救世群
小川一水 出版月: 2010年03月 平均: 8.00点 書評数: 2件

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早川書房
2010年03月

No.2 8点 ことは 2023/06/04 02:12
パンデミック小説なので、ミステリ読みでも、楽しめるはず。パンデミック小説として、抜群に面白い。
コロナ前に書かれた作品だが、コロナ時の対応を彷彿とさせる描写がおおく、的確にリサーチされていたんだなと驚く部分も多い。ただまあ、現実のコロナのときのほうが全然ぐたぐだで、作品内の政府の対処が理想に見えてしまう。”残念な現実”には、ため息しか出ない。
本作は、17巻になる壮大なSFシリーズの1作だが、本作だけ読めばSF要素はあまりないので、SFが好きでなくても問題なく読めるはず。それに、本作はシリーズ2作目だけれど、他作との繋がりはうすく、独立して楽しめるので、ぜひ読んでほしい。
(SF的振りが気になった人だけ、1作目からシリーズをよみすすめればよいので)
ただ、パンデミック小説なので、登場人物にはつらく厳しいシーンがある。そういうのが苦手な人にはお勧めしない。あとは、性的なシーンも少しある。これはシリーズ全体で”性”についてもアプローチしているからなのだが、本作だけ読むと、少し浮いて見えるかもしれない。

No.1 8点 糸色女少 2017/11/17 21:34
「メニー・メニー・シープ」に続く<天冥の標>シリーズ第二巻。ただし、はるか未来の植民惑星のドラマを描く前作とは一転、ほぼ現代の日本を主舞台に戦慄のメディカル・サスペンスが語られる。
主人公は国立感染症研究所附属病院の医師、児玉圭吾。パラオの小島で未知の感染症が発生したとの連絡を受け、同僚と現地へ飛んだ彼は、恐るべきウイルス性疾患、「疫病(ディジーズ)P}(のちの「冥王斑」)のアウトブレイク(突発的な発生)に立ち会うことになる。
タイトルの「救世群」とは、冥王斑から奇跡的に回復した患者群のこと。ウイルス保有者として差別にさらされる彼らがたどる苛酷な運命が中盤の軸になる。
日本のパンデミック・スリラーとしては、おそらくもっともリアルでもっとも読ませる小説ではないか。話は完全に独立しているので、前作を未読の方もご心配なく。


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