皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] あなたは嘘を見抜けない 「逸脱種探偵」シリーズ |
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菅原和也 | 出版月: 2017年07月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 3件 |
講談社 2017年07月 |
講談社 2017年07月 |
No.3 | 6点 | ミステリ初心者 | 2022/04/02 18:42 |
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ネタバレをしております。
二人の視点を交互に繰り返して物語が進みます。孤島の廃墟に出かけた恋人を失って、恋人は本当に事故で亡くなったのか、殺されたのかを調べる青年高辻。一方、映画を製作するために孤島の廃墟に出かけたグループの一人の青年亮太です。 恋人を失った青年は、突発的に殺人してしまう描写があります。ちょっと衝撃的ですが、それ以降はクローズドサークルも相まって、非常に読みやすい本です。読了まですぐでした。 推理小説的部分について。 孤島に出かけたメンバーがハンドルネームで呼び合います。こうなると、やはり、高辻が追う孤島の事件と亮太が体験している事件は別物と考えますよね(笑)。ただ、あまり深く考えずに読んだせいで、私は本のトリックである"高辻から見て過去の事件と思いきや、未来の事件"という時間の認識をずらす叙述トリック的仕掛けを見破れませんでした。わたしは嘘を見抜くべきだった(笑)。よくよく考えれば、ヒントも結構あったかと思います。 また、それとは別に、亮太が体験する密室殺人事件が起こります。少なくとも、私は前例を見たことがない密室だったため、この点では満足しました! ただ、死体に痕跡は残らないものですかね…? そうでなくても、やや知識がいる謎となっているのはマイナスですね。ミキが○っさくと呟いたのは、吉作落としですね! 蔦かなにかをロープにして崖を降りるのですが、蔦の収縮がおこってロープが短くなり、崖に取り残れる恐怖の話ですね…(涙)。 総じて、テンポがよく読みやすい本であり、最近よくある叙述トリック1本の小説とは違って密室殺人も用意してある良い本でした。ただ、叙述トリックも密室の謎も、佳作にはもうひと踏ん張り欲しかったところでした(笑)。 |
No.2 | 6点 | makomako | 2018/04/15 12:28 |
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大胆不敵な題名で、これはきっと騙されるだろうと思って読みましたが、やぱり見事に騙されました。
なるほど、こうきたか。一応伏線らしきものも張ってありまあフェアーな方でしょうね。 メインの登場人物がちょっと神経質すぎるけどまあこういった人が主人公でないとお話が始まらないのだからよしとしましょう。 それならもっと良い評価のはずなのですが、残念ながら開かれた密室の解決方法が納得できないままで終わっています。 これってちょっとインチキじゃない。たぶんこの方法は無理です。そうするとこのお話は根本的になり立たないこととなってしまうのです。 もうちょっと納得のいく方法での解決が欲しかったなあ。 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2017/10/08 09:39 |
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(ネタバレなし)
若手料理人の「僕」こと高辻裕樹。その高辻は、職場のレストランのバイト娘・花村郁美の紹介を経て、その友人の唐橋美紀と恋人関係になる。美紀には廃墟を探索する趣味があり、複数の同好の士とともに離島の「廃島」に赴くが、そこでもうひとりの人物とともに、不審が残る状況のなかで命を落とした。高辻は事件の真相を探ろうとする。そして明かされる「廃島」での怪死の真相とは? この数年、コンスタントに秀作を放っている菅原和也の新作。ある点に関してはこちらが油断していたこともあって見事に騙されたが、気づく人は気づくだろう。 廃墟内での<密室>といえる状況での殺人事件は、不可能犯罪的な興味として、普通に面白い。視覚的にちょっと××な? トリックも印象的である。 なおあんまり内容については書かない方がいい作品だが、最後まで読んでこれがタイガ文庫で出たことが腑に落ちた。タイトルが含む意味の味わいもしみじみ来る。 |