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本棚探偵の冒険
本棚探偵シリーズ
喜国雅彦 出版月: 2001年12月 平均: 7.00点 書評数: 3件

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双葉社
2001年12月

No.3 8点 斎藤警部 2026/07/06 09:50
「雑誌に手を出したら人間おしまいよオゥオゥオゥオゥ」
"モーニング娘。の新曲の一節にもあるとおり( 後 略 )"

うィっぷ! 寝食フォゲットで激烈の面白さだぜ。 恋はヤング・フィーリングだぜ。 今年のW杯は喜国が優勝だぜ。 勢いで三決にも闖入して荒稼ぎ得点王だぜ。

戦前日本の探偵小説を主戦場とし、日英米の本格/新本格を偏愛(←説明不足)、周辺ジャンルの話題にも手を伸ばす、ギャグ漫画家・装丁/装画アーティストでロックミュージシャンのキクニこと喜国雅彦氏が、たしか婦巨漢とか呼ばれるアイドル女優(字面からすると、まさかマ◯◯・◯◯ックスの事か?)と古本と古本屋と古本野郎が大好きだという事が身に沁みてファクトチェックできる一冊(シリーズ一作目)である。 平成真っ盛りの頃の刊行だが、♪令和レモンの世~~ にも輝きとポジティヴヴァイブとを失わない奇蹟の珍約聖書と言えよう。

「だからそういうときは、後ろの本の下に台を置いて、少し高くしてやればいいんですよ」
「なるほど、でも適当な台なんてないし」
「本でいいんですよ。 もう二度と読まない本。 文庫の台には文庫、ノベルスの台にはノベルス」

ミステリ誌への連載エッセイだが、内容もスタイルも、適当にばらかしてあるのが良い。 だが芯は(二本半くらい)通っており、芯を支えているのは生き様という名のセレンディピティだ。
本とミステリとその他諸々への愛と興味に溢れ、楽屋落ちにも魂が籠っている。 思いつきとフォロー修正とを撒き散らし、派手に脱線して機敏にすぐ戻る機敏さも最高に機敏だ。

“( 前 略 ) そうなっていくのが古本マニアの性(さが)なのだから仕方ないのだ。 性という字を見ると世良公則が浮かんでしまう。 何も思いついたことを全部書かなくていいんだぞ。”

ツイストの 「性(さが)」 は 「銃爪(ひきがね)」 と 「燃えろいい女」 に挟まれた4枚目シングルで、本作からバンド名が ‘世良公則&ツイスト’ から ‘ツイスト’ に変更された。 ’ソニー&シェール’ が ‘シェール’ に変わった様なものかと言えば、それは違う。 だがソニーが亡くなって以降シェールが大ブレイクした事を考えると、結果的にはアタトー(当たらずとも遠からず)なのかも知れない。 ( 中 略 ) 前後のシングル 「銃爪(ひきがね)」 「燃えろいい女」 はどちらも派手な代表曲で今も時々オンエア等される様だが、「性(さが)」 もまたたまらなくファビュラスな音圧スローナンバーで当時は大ヒットした。 これほどラウドなロックバラードがあるものかと驚いたものである。 歌詞が絶妙な所で下世話なエロに流れ落ちない抑制美も光る。 アルバムではピアノとスキャットでゆったり始まるが、対照的に衝撃のシャウトが口火を切るシングルバージョンの方が、どちらかと言うと私は好きだ。( 長 い 後 略 )

先行のお二人も言及されておられるが、私も “ポケマラ” には胸熱くも笑かしてもらった。 三笘の逆一ミリみたいな?エピソード込みのノーサイド人情エンドも最高だ。
乱歩亭で胸いっぱいになり、古書市の常連を警戒しながら感化され、函ナシ本の函を手作りし(おいらも帯ナシLPの冗談帯を作った事があったような無かったような)、角田喜久雄の生原稿に疑惑と推理とを巡らし、’俺のパノラマ島(俺ラマ)’ に妄想の限りを尽くし(鮎川さんを閉じ込めて『白樺荘』を完成させる! ミニスカポリス一万人!)、あとがきやら巻末対談やらの附録部分にほぼ100ページを充てて来る、サラっと官能小説もどきをはさんで来る、時々あからさまなdisで敵も作る、そんな忙しなくキュートなキクニさんは田中麗奈(モー。のれいなではない)も大好きらしいのですが、私は全く賛同出来ません。 前述した婦巨漢の方が、好きとまでは言いませんが、まだしもです。

“まず漫画家を目指してみるのもいいかも知れない。 「急がば回れ」 のたとえありだ。 そして間違って大ヒット作でも描いた日にゃ ( 中 略 ) その前に函入り本が買えちゃうぞ。” ← ここ大笑いだったぞなもし

お酒は一滴も飲めないそうですが。。。 昔 「宝島」 かなんかのインタビュー(喜国氏がそこそこ売れ出したけどまだまだ貧乏な頃?)で、知り合いの売れてるバンド(たぶんZIGGY)の打ち上げに同席してタダ酒を固め飲みするとか言ってた気がするんだが、あれはまさか、蜃気楼ドリームと言う名の、夢のミラージュだったのか。。?

“充分実現可能な夢(ロマン)なのだ。 そう、夢(ロマン)はいつも僕らが摑まえるのを待っている。”

No.2 7点 Tetchy 2017/09/10 00:43
喜国氏の古本収集狂想曲という副題もつけられそうな本書は世に蔓延る古書収集家のHPやブログにありがちな、どこそこの店で○冊買ったとか、△×デパートの古本市で~~をゲットしたとか、紙一重の差で獲られたとか、古本屋の品揃えに対するコメントなどいわゆる古本マニアが陥りそうな買い物披露会、蔵書展覧会的内容になっておらず、古本や本自体を通じて様々な試みをしているのが面白い(いや勿論半分は古本屋探訪記なのだが)。

特に面白く読んだのが1日でどれほどポケミスをゲットできるかを描いた「ポケミスマラソン」だ。私も一度神田の古本街で古本屋巡りをしたが、朝から行って昼過ぎでも廻りきれず、疲れ切ってしまったのを覚えており、喜国氏の深夜まで本屋を駆け巡る根性には畏れ入った。本を集め出すと、多分ないだろうと解っているのに、どうしても遠方であっても訪れざるを得ない衝動に駆られ、収穫が大方の予想通りになかった場合は徒労感に加え、財布に残ったお金を見てその日に費やした交通費を想像して絶句してしまうのである。本書にはそういった本好きのどうしようも止まらない衝動があらゆる方面から描かれている。

またこれだけいっぱい本を集められる財力と本を収納するスペースがある羨ましさ(巻末のエッセイでは倉庫を借りているとのこと)を感じつつ、表紙が違っていたり、版が違うことで文章や中身が変わっているだけで同じ作品でも何冊も買ったりと、そこまではと感じる部分もあり、本好きの夢の具現化と自分の本好きのバロメータを測る指針にもなったり、本好きあるあると本好きと収集狂の境界を垣間見られたりとなかなかに深い内容なのである。

本書は本好きの本好きによる本を好きになり過ぎておかしなことをしてしまった人々のお話である。この中で語られるエピソードにもう1人の自分を重ねるもよし、はたまた自分の好きな世界のさらに奥深い所を知って、境界線を引くもよし、また喜国氏のように函作り、豆本作りを手掛けるもよしと、読めば読むほど本の深さを知らされる。特に巻末の古書収集仲間の座談会の内容の濃い事、濃い事。そして双葉社の喜国氏の担当もいつの間にか感化されて古書収集に精を出すようになってしまった。古書収集は友を呼ぶのか。

No.1 6点 メルカトル 2017/09/05 22:49
エッセイ集、本棚探偵シリーズの記念すべき第一巻です。
『冒険』とうたっているだけあって、それにふさわしい内容となっています。例えば「ポケミスマラソン」。ハヤカワ・ポケット・ミステリを古書店を廻って、一日に何冊見つけられるかに挑戦するという、真に馬鹿馬鹿しい企画だが、その疾走感と奇跡的なオチは楽しい以外の感想が思い浮かびません。他にも「小説『兄嫁の寝室』」など、実に怪しげなタイトルのものなど様々なエッセイの域を超えたエッセイのラインナップが楽しめます。
さらには、京極夏彦、二階堂黎人、山口雅也、我孫子武丸、北村薫らが登場し、それぞれの人間性を発揮しております。口絵で描かれた彼らは本物そっくりで笑えます。これは面白くないわけがありません。みなさん古本が大好きなんですね、喜国氏だけでなくミステリ作家の本に対する狂おしいまでの偏愛ぶりが垣間見えます。
本来第二巻『回想』第三巻『生還』が間に挟まっているんですが、これらは現在入手困難な状態です。勿論古本なら手に入りますが、私は彼らのような「古本者」ではありませんので、残念ながらそこまでしてそれらを読もうとは、今のところ思っていません。悪しからず。


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喜国雅彦
2014年04月
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2001年12月
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