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[ 時代・歴史ミステリ ]
夜明けのメイジー
メイジー・ダブスシリーズ
ジャクリーン・ウィンスピア 出版月: 2005年03月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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早川書房
2005年03月

No.2 6点 ◇・・ 2022/06/30 18:39
イギリス人の階級社会は第一次大戦を境に崩壊していったが、女中から大学生、そして看護師から女性私立探偵になったヒロインの半生も、そんな激動の時代を反映している。メイジーが抱えている悲劇的な過去は、彼女が請け負ったケースとは別の謎として最後に明らかになるのだが、事件の結末よりも読者の心に長く残るだろう。
メイジーは知的で思慮深く、ほかのシリーズものの主人公にはない静かな魅力がある。彼女を支える脇役たちの心優しさも嬉しく、彼らと再会するためにシリーズを読み続けたくなる。イギリスの変化を伝える歴史小説としても興味深い。

No.1 5点 nukkam 2016/08/30 06:18
(ネタバレなしです) 英国人ながら米国に在住している女性作家ジャクリーン・ウィンスピア(1955年生まれ)による2003年発表のデビュー作です。第一次世界大戦後のロンドンで探偵業を始めたメイジー・ダブスの物語ですが、当初はシリーズ化の予定がなかったのか本書の英語原題が「Maisie Dobbs」と主人公の名前そのままなのが珍しいですね。女性探偵の成長物語という点でP・D・ジェイムズの「女には向かない職業」(1972年)と比べるのも一興かもしれません。本書は三部構成になっていて第一部でメイジーの最初の探偵活動を描き、第二部では時間を遡って探偵になる前のメイジーが描かれます。この第二部はメイジーの成長物語として大変よく出来ているのですが全体の半分近い長さでしかも全くミステリーになっていないので、人によって冗長に感じるかもしれません。第三部では再び探偵メイジーの活躍が描かれますが手掛かりからの推理場面はほとんどなく直感であたりをつけての行動が中心になっているので謎解きの面白さはあまりないです(ある意味はったりに近い解決です)。文章、展開とも読みやすく、特に戦争の悲惨さ虚しさはよく描けていて歴史ものらしく仕上がっています。


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ジャクリーン・ウィンスピア
2005年03月
夜明けのメイジー
平均:5.50 / 書評数:2