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[ ハードボイルド ]
報酬か死か
志田司郎
生島治郎 出版月: 1975年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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桃源社
1975年01月

春陽堂書店
1979年11月

徳間書店
1984年09月

春陽堂書店
1992年05月

No.1 6点 人並由真 2019/04/25 17:23
(ネタバレなし)
 『追いつめる』の主人公・志田司郎の事件簿をまとめた全7編の連作短編集。
 今回評者が読んだのは元版の桃源社・ポピュラーブックス版だが、各編の雑誌の初出が記載されてないので、それぞれいつ頃書かれた作品かはわからない(調べる手段はあるが)。ただし第三話「裏の裏」のなかでの依頼人との会話で、2年前に暴力団組織を壊滅させたと『追いつめる』事件のことが話題になるので、現実の執筆・刊行よりも劇中の時間は経っていなかったかもしれない。
 個人的には『追いつめる』という生島作品も志田司郎という生島ヒーローもともに昭和期の国産ハードボイルド、和製ハードボイルド私立探偵として、スタンダードすぎる感じがしてあまり思い入れがないのだが、本作の諸編では以前に華々しい成果を上げた(そして痛い苦い思いもした)ヒーローが、ここでは貧乏に地道に日々の仕事を片づけている感覚がしてとても親しみやすい。正にテリー・レノックスのいう「人生に一回だけ拍手喝采を浴びる空中ブランコを披露して、あとはドブに落ちないように気をつけながら歩いている」ハードボイルド世界の登場人物だ。
 なんか田舎のラーメン屋に入って備え付けのコミックスで、人間ドラマが粒ぞろいと世評が高い(でもまだ読んだことのなかった)専門プロフェッショナル・連作ものの青年劇画を料理そっちのけで楽しんだような感じである。
 全7編、基調に一本芯が通りながらも、一冊の事件簿としては適度にバラエティ感があるのもいい。
 この一冊で志田司郎が以前より少しスキになった。


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生島治郎
1999年12月
修羅の向う側 志田司郎探偵事務所
平均:6.00 / 書評数:1
1993年10月
浪漫疾風録
1990年02月
死に金稼業
平均:6.00 / 書評数:1
1985年05月
密室演技
平均:6.00 / 書評数:1
1985年03月
犯罪ハネムーン―新婚刑事事件簿
平均:6.00 / 書評数:1
1982年05月
犯罪ラブコール―のんびり刑事未解決事件簿
平均:6.00 / 書評数:1
1981年03月
銀座迷宮クラブ
平均:6.00 / 書評数:1
1977年06月
危険な女に背を向けろ
平均:5.00 / 書評数:1
1976年01月
白いパスポート
平均:6.00 / 書評数:1
夢なきものの掟
平均:5.00 / 書評数:1
1975年05月
死者だけが血を流す
平均:7.00 / 書評数:1
1975年01月
報酬か死か
平均:6.00 / 書評数:1
1973年01月
裏切りの街角
平均:6.00 / 書評数:1
1971年01月
あの墓を掘れ
平均:7.00 / 書評数:1
殺しの前に口笛を
平均:8.00 / 書評数:1
1970年01月
狙われる男
平均:7.00 / 書評数:1
男たちのブルース
1969年01月
死はひそやかに歩く
平均:7.00 / 書評数:1
1968年01月
悪人専用
平均:6.00 / 書評数:1
1967年01月
愛さずにはいられない
平均:6.00 / 書評数:1
追いつめる
平均:8.00 / 書評数:3
1966年01月
東京2065
平均:6.00 / 書評数:1
1965年01月
黄土の奔流
平均:8.00 / 書評数:2
1964年01月
傷痕の街
平均:7.50 / 書評数:2