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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1305件

プロフィール| 書評

No.305 6点 ホッグ連続殺人
ウィリアム・L・デアンドリア
(2015/10/04 18:09登録)
アイディア一発、仕上げはまずまず。
ワンアイディアに勘付いてしまったら、手紙のタイミングから逆算して眞犯人は見え見えかも。。
凍死事件の、ブラウン神父を思わせる心理トリックがやけに印象深い。


No.304 8点 99%の誘拐
岡嶋二人
(2015/10/04 17:52登録)
「奥歯をかみしめる」にはそんな場合もあるんだなあ。。
世代に渡る陰謀と誘拐の話にしては重圧感をスポーツ的快感で押し切った感のある娯楽大作。テクノロジー使いの見せ方も気持ちがいい。
意外な結末(真相隠匿)へのこだわりと、もう一歩踏み込んで残酷な人間ドラマがあったら。。とは思うがそれでも高得点を付けるしかない。


No.303 6点 ちょっと探偵してみませんか
岡嶋二人
(2015/09/30 22:59登録)
オリジナル推理クイズ集でこれだけ新鮮で良質なものが出来るんだな、っていうね。

たとえば木々高太郎さんなんかがこの手のショートクイズ集をね、あの独特の風格と医学のエッセンスでもって書いてくれてたりしたらどんなにか


No.302 10点 奇想ミステリ集
山田風太郎
(2015/09/30 06:46登録)
『物語の復権』こと「講談社大衆文学館(文庫本)」シリーズの一冊です。やまふーの現代ミステリ(現代と言っても大昔)から選ばれた濃厚艶美な物語の数々。
湿り気のある物語から乾いた話、明るいのや暗いのや、どれもこれも魅了されっ放しの桃源郷。
中でも心に特筆されたのが、心理トリックが強烈で美しい「新かぐや姫」に、本格ミステリ純度の高いダークでハードな心理劇「司祭館の殺人」あたり。 他の小説も一つ残らず最高の薫りと輝きを誇る、それでいて手軽に読める練達の作品ばかりです。

新かぐや姫/女妖/二人/ノイローゼ/目撃者/不死鳥/露出狂奇譚/祭壇/春本太平記/青銅の原人/笛を吹く犯罪/墓堀人/司祭館の殺人
(講談社大衆文学館)


No.301 5点 ABC殺人事件
アガサ・クリスティー
(2015/09/30 00:53登録)
ちょっとした叙述や構成のミスディレクションもあって興味深そうなんだけど、決して詰まらないわけじゃないんだけど、犯人も意外な陰から出て来るんだけど、ん~~なかなかに緩い結末だねえ、ABC順に殺人を重ねるなんていかにもアガさんらしい企画性の高いネタを提示して来る割にどうもガツンと来る豪快さを感じない。いとも簡単に舞台の裏側は見えちゃうし、かと言って諸々の弱点を補うほどの中盤のサスペンスやら何やらは求め得なかった。なのにどこか憎めない。「まぁ面白かった」くらいは言える。

と言ったわけで個人的にさほどの高評価も出来ませんが、これからの世代のミステリ好きにも読んで欲しい一冊ではあります。やはり憎めない作品って事です。

↑ まさかこんなに長く語るとは思わなかった


No.300 8点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2015/09/30 00:36登録)
世に屹立する、特別な推理小説。

犯人設定にあと一歩、動機の意外性にあと二歩、更なる強烈なダメ押しがあったなら、個人的にも10点は間違いなかった。 結末の意外性がちょっと薄かっただけで2点も損した。それだけ中盤の分厚さに圧倒されたってわけだ。

とにかく、激しく面白い必読の名作に変わり無し。アガサクの異色作にして代表作。外界から隔離状態での不思議と抒情あるサスペンスは唯一無二の窒息感覚。

そうそう、このお話は終わり方がとても印象的です。 ”フランス白粉”とは違うけど、犯人の名前で最後を締めるしね。  


No.299 9点 黒い画集
松本清張
(2015/09/28 22:23登録)
ずっしり重い、清張渾身の巨大な中・短篇集。 政界官界財界等社会の大きな構成要素よりも、社会の元になる個人個人という小さな構成要素の中の悪(意)に怜悧なメスを入れ、そういった個々の小悪が最後は社会の巨悪を築き上げているんだ、なんて事を諭されるような、俺を単純左翼だと思ったら大間違いだぞ、なんて太声の呟きが行間から零れて来るような、そんな気がする魅力のミステリ文芸作品群に、あなたも是非圧倒されたし。

遭難/証言/天城越え/寒流/凶器/紐/坂道の家
(新潮文庫)


No.298 8点 憎悪の化石
鮎川哲也
(2015/09/28 20:42登録)
「湯田真壁」なんて被害者(ガイシャ)の名前が絶妙だね。
鮎哲にしてはちょっと冷たい、硬い暗さを感じる。新境地でも意識したのか。
ところが小説の中身はね、全く悪くないんですよ、これが。


No.297 6点 天使の唄
三好徹
(2015/09/28 18:17登録)
天使の唄/天使の弔鐘/天使の裁き/天使の葬列/天使の亡霊/天使の黒い微笑
(講談社文庫)

若くして逝った不幸な女性達を「天使」に見立てた、日本らしく湿潤感の強いハードボイルドシリーズ短篇。昭和四十年代の雰囲気もしつこくない程度に味わえる。
探偵役は三十台半ば独身の少し疲れた新聞記者。勤務先は横浜支局と警察と事件現場。綾野剛が演じたらきっとはまる。

サスペンスはさほど強くなく、謎解きの濃淡はまちまち、本家のハードボイルドとは異なる文体(それでも直接心理描写は相当に抑えてある)、文芸作として決して光っているわけでもないが、何とも甘苦いブルージーな空気がどの作にも流れており、その空気を嗅ぐ為にまた次の頁をめくりたくなる、結果、大事なミステリーの部分にいつしかほんのり魅了されている、そんな短篇集です。

【以下、軽いネタばれ】
「変態」の伏線回収に不謹慎ながら笑っちゃった作品あり。
「名前」の伏線があったとは言えまさかの國際スパイ展開にあっけにとられた作品あり。


No.296 6点 13の秘密
ジョルジュ・シムノン
(2015/09/27 12:23登録)
仄かに抒情漂う推理クイズ集といった趣。 好きな雰囲気だ。


No.295 7点 フローテ公園の殺人
F・W・クロフツ
(2015/09/26 01:42登録)
心地よい退屈も時折入りつつ愉しい読書。上質の倦怠は歓迎だ。6点本の典型だなと安心していつもよりゆっくり読んでいたら、まさかの反転にやられた! 最後の数ページで1点加算! 意外にも犯人が意外な人物で。。 
捜査途上の描写が、まるで(作者なのに)事件の真相を知る由も無い人が書いているかの様に無色透明ニュートラル、まるで湧き水か甲類焼酎の様(詰まらないのではない)。その独特の静謐感には打たれます(けっこう動きの激しい物語なのに)。
創元推理文庫『名著復活』(いい言葉!)に選ばれただけの価値はまず有り。


No.294 5点 ポワロの事件簿2
アガサ・クリスティー
(2015/09/26 01:30登録)
戦勝舞踏会事件/料理女を探せ/マーキット・ベイジングの謎/呪われた相続/潜水艦の設計図/ヴェールをかけた貴婦人/プリマス急行/消えた鉱山/チョコレートの箱/コーンウォールの謎/クラブのキング
(創元推理文庫)

小粒なクセに切れ味の甘い退屈めの作が並び、その緩い雰囲気が絶妙に憎めない短篇集。
全体的に締まらない小説群の中で目を引くのが、所謂「十戒」の中でも比較的目立たない某条項を逆手に取って随分大胆に料理して見せた一作。このカウンターパンチぶりは何とも印象的。


No.293 6点 生ける屍の死
山口雅也
(2015/09/23 07:31登録)
死人もしばらく考えたり行動したり出来る(ただし諸制約有り)という設定はロジックをガチャガチャやるルールの複雑化手段として目を引く。 ただ、さほどの前代未聞感は無かったな。。

長い物語ですが、会話の機微や薀蓄、引用の面白さも手伝って緊張途切れず読めました。 ただ、さほどの結末衝撃は無かったな。。 仄かな感動はあった。

これだけ登場人物(それも殆ど片仮名)が多いのにちゃんと書き分けられているのは素晴らしいですね。
敢えて人に薦めるまではしませんが、必読の書的な立場にあって色んな人に手を伸ばして欲しい一冊です。
どことなく病的なムードが作品全体に充満しているのも刺激的で、作者の人となりに思いを馳せてしまいます。

表立って記載されなかった楽曲では The Rolling Stones ”Play With Fire” と Elvis Costello “The Loved Ones ”が想出されずにいませんでした。(前者はきっと作者も意識してる。とある登場人物名には笑わせてもらいました)


No.292 7点 世界短編傑作集3
アンソロジー(国内編集者)
(2015/09/10 09:41登録)
「毒チョコ」に萌え切れない私も「偶然の審判」では大萌えです。本作だけなら10点満点もいいとこ。
他にも「茶の葉」「密室の行者」「二壜のソース」等々、輪郭のくっきりした勝負作が目白押し。粒揃い(やや大きめ)のアンソロジーですね。


No.291 8点 スナーク狩り
宮部みゆき
(2015/09/09 07:26登録)
疾走するサスペンスだね。 よく締まっている。 圧倒されますよ。


No.290 7点 長い長い殺人
宮部みゆき
(2015/09/09 07:21登録)
そこはかとなく明るい空気漂うサスペンス。本格要素も有り。愉しいです。
結末で特に驚いたりもしませんが、じゅうぶん許せます。

でもね、【ここからネタバレ】外界の様子が一切見えない「お財布」が語る物語なんだから、それも一つでなく幾つもの「お財布」がリレー形式で語るんだから、何らかの叙述トリックを仕掛ける余地も充分あったと思うんですけどね。


No.289 7点 頼子のために
法月綸太郎
(2015/09/09 07:10登録)
後味悪い結末はかなり早い段階で見え隠れしましたが、それでも充分愉しい読書でした。


No.288 4点 死体を買う男
歌野晶午
(2015/09/09 07:05登録)
古(いにしえ)の文人たちが語り合う趣向は面白いですけど、ピリッとしない小説でしたね。 凝った構成も収束も、わたしの感性には空回りとまで行かずともさほど驚けず。


No.287 9点 葉桜の季節に君を想うということ
歌野晶午
(2015/09/09 06:59登録)
例のフレーズにぶち当たった刹那、周りの空間がぐにゃありと捻じ曲がる感覚に襲われました。旅先(静岡県)のラーメン屋のきれいなトイレ個室内での出来事でした。まさかの衝撃に続いてじんわり押し寄せる感動がまた掴んで離さず、ミステリ小説としてのバランスがどうこう、なんて疑問は衝撃と感動の不可解な融合感覚がもたらした未知の巨大エネルギーで木っ端微塵に吹っ飛んでいましたね。
これが、叙述と社会派と恋愛小説の見事な三角融合というものかしら。 中村憲剛の愛書だというのも個人的にポイントが高いです。


No.286 8点 ゼロの蜜月
高木彬光
(2015/09/09 01:26登録)
社会悪を良い意味でダシに使った「人蟻」などに較べると「0蜜」は本腰の入った社会派ミステリと言え、強力なサスペンス持続に謎解き要素も堅調、如何にも古式ゆかしいA級オーラの漂う逸品。

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