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ミステリの祭典

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奇想ミステリ集

作家 山田風太郎
出版日1997年02月
平均点7.25点
書評数4人

No.4 5点 いいちこ
(2024/03/31 16:53登録)
ミステリというより、ダークなテイストで、ツイストを効かせた短編小説集という印象。
前半の作品群は、それなりの水準にあるものの、後半はやや平凡というか、いかにも小品に映る。
ただ、これが作品そのものの出来・不出来によるものか、似たような球筋の変化球を見続けたことによるものかは、判然としない。
解説によると、本作の出版時点で絶版となっていた作品を集めたという経緯のようで、著者の代表的な作品群には、一歩も二歩も及ばない。
ただ、それでもこの水準にあるというのは評価されるべきであろうし、とくに当時の風俗を鮮やかに描き出す筆力はさすがの冴え。
5点の最上位

No.3 6点 メルカトル
(2020/05/15 22:33登録)
奇想天外・荒唐無稽と絶賛をあびる山田風太郎作品。その原点が現代ミステリだ。「愛する義妹の孕む子の父親探しに狂奔するアプレ遊廓の経営者」「客の男たちを恋の騎士として競わせる経歴不詳の酒場のマダム」ら、戦後のデカダンスを色濃く映す主人公。戦慄と猟奇、妖美と夢幻の渦巻くなかに仕掛けられる想像を絶する動機と犯罪、ドンデン返しの結末。人情の機微を踏まえたトリックが翻弄する傑作集。
『BOOK』データベースより。

正直期待していた程ではありませでした。13の短編からなる作品集。7作目の『露出狂奇譚』まではそれなりに面白かったですが、それ以降は読み進むための推進力を感じることが出来ず、ダラダラとした読書になってしまいました。それでも6点を付けたのは、山風の底力でしょうかね。
一応ミステリ集となってはいますが、本格度はかなり低く、奇妙な味わいのミステリ風小説集って感じなのではないかと。ラストで捻りが加えられたものが多く、それでもハッとする程のものではないですね。

これといって秀作と言える作品は見当たりません。『奇想小説集』のほうが荒唐無稽だし自由だし、相対的に面白かったですね。こちらも奇想という割りには、作者の実力をイマイチ発揮できていない気がします。数々の名作に比して評価点は低くせざるを得ません。
多分、一月もすればほとんど忘れていることでしょう。

No.2 8点 tider-tiger
(2016/09/21 18:39登録)
ひねりが効いている、盲点を衝かれる、いや、というよりも食わせ者にしてやられた感が強い。
「安心してください。穿いてます」みたいな感じか。いや、あれは何度も見せられるとむかついてくるが、本作品集はそんなことはない。
良い意味で五十過ぎの食えないおっさんが書いたような円熟味を感じさせる作品集だが、なんと風太郎の初期作品ばかりだという。それでいて、ちょっとした仕草や思考の描写の中に鋭い人間観察が仄見えたりと本当に油断できない。本人はこれらの作品を習作だと考えていた節すらあるらしいのだが、とんでもないセンス。
最初の「新かぐや姫」からして傑作。これがベストトラックかなあと思いきや。次から次へと凄い作品ばかり。
怖かった「目撃者」 あの運転手のその後の人生はどうなってしまうのか。心配だ。
笑った「露出狂奇譚」モノのみならずオチまで丸見えの露出狂の話だが、たとえオチが見えたとしても自分はこういう小学生が喜びそうな話が大好きなのだと再認識。
最後は「司祭館の殺人」で狐につままれて終了です。
駄作は……あったのかもしれないが、自分は気付かなかった。
強いて言えばミステリとしては弱い作品がかなり含まれているとは思う。

No.1 10点 斎藤警部
(2015/09/30 06:46登録)
『物語の復権』こと「講談社大衆文学館(文庫本)」シリーズの一冊です。やまふーの現代ミステリ(現代と言っても大昔)から選ばれた濃厚艶美な物語の数々。
湿り気のある物語から乾いた話、明るいのや暗いのや、どれもこれも魅了されっ放しの桃源郷。
中でも心に特筆されたのが、心理トリックが強烈で美しい「新かぐや姫」に、本格ミステリ純度の高いダークでハードな心理劇「司祭館の殺人」あたり。 他の小説も一つ残らず最高の薫りと輝きを誇る、それでいて手軽に読める練達の作品ばかりです。

新かぐや姫/女妖/二人/ノイローゼ/目撃者/不死鳥/露出狂奇譚/祭壇/春本太平記/青銅の原人/笛を吹く犯罪/墓堀人/司祭館の殺人
(講談社大衆文学館)

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