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ミステリの祭典

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殺しの報酬
87分署

作家 エド・マクベイン
出版日1960年01月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 斎藤警部
(2021/03/31 11:14登録)
落語で言うマクラからの。。一瞬だけ思索に迷うも。。持ち直してファーストシーン鮮烈(過ぎず、手堅過ぎず。。恐喝業者が走る車中からの狙撃で即死)、、と冒頭はハードに決めたもんだが、なんか中盤に入るにつれユル面白いお話になって行くんだけど。。 時々文学の森に逍遥しつつ、やはり人間臭い人間たちの適度にヴィヴィッドな描写、チョイ役らしき人たち(?!)まで入れて、いかしてます。 しかしこのびっくり真犯人とニサス風?バタバタは笑ったが、、つまりはこう見えてしっかりミスディレクションが効いたって事でないの!! しかも、◯学的大ヒントまで、アカラサマにあったのに! 違和感独白のダメ押しまで付いて!!! んで最後は文字通り、朝飯前の解決とな。 それにしても、サザエさんが読んでる架空の推理小説みたいな題名ですね(笑)。

No.3 6点 クリスティ再読
(2020/01/06 13:07登録)
87でも標準的、くらいの出来栄えだと思う。恐喝屋殺しの犯人は..を追う主人公は今回コットン・ホース。妻帯者のキャレラとかマイヤーと違って、海軍上がりのムキムキ独身男だから、捜査の途中でもガールハントに精を出す(苦笑)。赤毛なのにナイフで切られた傷跡から白髪が...という描写は、実のところホースのセックス・アピールみたいなもんだろうよ。
犯人とか少し工夫があるけども、これはそう大した話じゃない。それよりもクライマックスが結構コミカルな場面になったと思う。もし評者が演出するなら、絶対笑えるようにしたいと思うくらい。ホースくんお疲れさま。

No.2 6点
(2019/07/24 23:04登録)
 こぬか雨に濡れる六月末の夜、角を曲ってきたセダンが歩いていく男の十フィートばかり前に止まり、窓の一つがスーッと開くとそこからライフルがぶっぱなされ、歩道の男の顔は粉みじんに吹きとんだ。
 ギャングもどきのやり方で殺されたのはゆすり屋のサイ・クレイマー。ここ四、五年派手な暮しをしてはいたが、死ぬちょっと前には酔っぱらいの船乗りみたいに札びらをばらまいていたらしい。高級アパートにキャデラック、ビュイックのステーション・ワゴンに新しい女。ひと月足らずの間に三万六千ドルもの金を惜しげもなく使い果たし、その上約半年あまりの間に四万五千ドルという驚くべき額を預金しているのだ。いったい、その金はどこから来たものなのか?
 持参人払い小切手の署名先を聞き込むスティーヴ・キャレラ。一方コットン・ホースは、密告屋ダニー・ギムプの情報からクレイマーの羽振りが良くなった「九月の猟の旅」に目を付け、ひとりニューヨーク州のアディロンダック山塊へと向かう。
 87分署シリーズ第7作。前作「被害者の顔」でみそをつけたコットン・ホースが次作「レディ・キラー」と併せ大活躍。ガソリン会社のクレジット・カードの使用量から宿泊先の目星をつけ、ついに被害者が宿泊した湖水のほとりのクカボンガ山荘を発見します。
 山小屋の主人の記憶から最終的な容疑者は三人に絞られるのですが、ここでちょっとした工夫があります。とは言え「電話魔」に比べると捻りが足りず、元ネタを超えたとは言えません。これは謎解き興味よりも、むしろラストの見せ場に寄与しているでしょう。
 他にもある目論見を抱いて刑事たちを尾行する人物の存在など、レッドへリングはありますが特筆する程ではない。初期作でキッチリ作っている点は買えますが、総合すると平均より少し上くらい。ちょっと佳作には至りません。どちらかと言えばよりリーダビリティの高い「レディ・キラー」の方が好みかな。

No.1 7点 tider-tiger
(2015/10/15 19:20登録)
曲がって来た車の窓からライフルで狙撃されて落命したのは恐喝を生業とする男だった。犯罪者間の争いの線は早々に消え、恐喝されていたうちの誰かが殺ったのだろうという推測の元に捜査は進められる。だが、容疑者たちは恐喝されていただけに後ろ暗いことがあり、みな口が重いのだった。

前作「被害者の顔」で初登場したコットン・ホース刑事が主人公です。ホースは前作ではやや疎ましい男だったのが、キャラが少し軽くなって、人好きのする奴になっていました。
まあ、それはさておき、さほど話題にならない作品なのですが、自分はけっこう良く出来ていると思っています。被害者が恐喝犯ということが活きています。多少御都合主義な部分はあるも、細かな伏線を張ったり、理由付けを行う努力はなされています。展開に捻りもあって、犯人に関してもちょっとした驚きがあります。

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