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ミステリの祭典

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正三角形は存在しない 霊能数学者・鳴神佐久に関するノート

作家 二宮敦人
出版日2013年10月
平均点6.50点
書評数4人

No.4 5点 まさむね
(2016/09/10 21:12登録)
 イマイチ馴染めないなぁ…というのが、前半の正直な印象だったのですが、第三章以降はグイッと盛り上がり、巧く収束させています。個人的には不得手な雰囲気の作品だけれども、終盤の展開は結構好きかな。

No.3 7点 ボンボン
(2015/11/29 22:04登録)
あまりの少女漫画表現に前半はドン引いた。しかし、ぐんぐん盛り上がっていき、最終的には大満足。そうか、なんかおかしいと思っていたんだ、なるほど、なるほど、と膝を打つこと請け合い。
心霊の特徴について、数学やその他の非常に巧い例え話でスラスラと説明する鳴神佐久のキャラクターがいい。変な理屈に丸め込まれて納得してしまう。
隅々まで大変よく出来ているだけに、今の時代、売れるためにはここまで軽々しくしなければならないのかと、少し勿体ないような気もする。面白いからまあいいけれど。

No.2 6点 makomako
(2015/11/13 21:53登録)
 初めは心霊現象研究会などという怪しげなお話で始まるのですが、最後まで読むとこれはちゃんとしたミステリーでありなかなかの出来であると感心しました。
 物語の三分の一ぐらいまでは怪しい話で、読みやすいのだがこれはちょっとどうかなあと思っていたのですが、主人公とマイコのしりとりの場面で、あまりのおかしさにクックと笑ってしまい周囲の人におかしなやつと怪しまれました。
 このあたりから話は急激に面白くなり、終盤のどんでん返し風の展開まで楽しく読むことができました。
 オカルトを数学的に解釈するなんてことはしょせん無理と思っていましたが、こういった展開は誠に意外。無理な押し付けではなくある意味で納得しました。

No.1 8点 メルカトル
(2015/09/09 22:07登録)
女子高生の佳奈美はどうしても霊に遭遇したくて、クラスメートで霊能者の雄作とその兄でこれまた霊能者で大学生の佐久に近づく。それから様々な事件に巻き込まれるが、彼女の熱は冷めず、ますますのめり込んでいくことに・・・
主人公はこの三人だが、他の登場人物も含めてとてもよく描き分けられており、それぞれの個性が際立っている。見方によっては連作短編にも取れるが、長編として捉えたほうがしっくりきそうだ。
文体は相変わらず安定していて、非常に読みやすく好感が持てる。第二章まではどこかライトなオカルト・ミステリかと思わせて、第三章でとんでもない展開に持っていく力技は見事だ。とにかく胸がいっぱいになり、読んでいてせつなさで心が震えるような体験をすることになった。この感覚は久しぶりなので、思わず高得点をあげてしまったのだった。
本作は取り敢えず私史上、二宮氏の最高傑作となった。とても素敵な作品だと思う。

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