home

ミステリの祭典

login
十三角関係
荊木歓喜もの

作家 山田風太郎
出版日1956年01月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 7点 ぷちレコード
(2024/01/11 22:17登録)
都内の遊郭で酸鼻な事件が発生。店のマダムが殺され、解体された手足と首が外の風車に吊るされたのだ。夫や息子に記者など容疑者は複数浮かぶが、犯人を特定する決め手を欠く。
動機も犯行方法も意外性抜群なのだが、特に犯人の隠し場所に驚かされた。様々な供述や手記を織り交ぜる語り口の妙も人心の奇怪さを鮮やかに表現している。

No.3 4点 いいちこ
(2023/03/23 08:35登録)
プロットそのものに若干の無理を感じる。
本件真相であれば、実証的な捜査を丹念に続ければ、必ずや解明できるであろうし、犯行動機のリアリティが弱い点でも不満が残る。
全体として平凡な印象

No.2 5点 nukkam
(2016/07/08 18:56登録)
(ネタバレなしです) 山田風太郎(1922-2001)は「甲賀忍法帖」(1958年)や「魔界転生」(1965年)などの忍法帖シリーズをはじめとする時代小説の大家として大変有名ですが実は推理小説家としてデビューしており、江戸川乱歩からも将来性を期待されていました。忍法帖シリーズの大成功などもあってミステリー作品は執筆量を減らしていくことになりますが彼の活躍時期は社会派推理小説の全盛時代に重なるため、奇想天外なアイデアを自由奔放な表現で書くタイプの山田がミステリーから離れたのは正解だったかもしれません。1956年発表の本書は長編1作、短編8作、その他1作(高木彬光との合作)に登場する荊城歓喜が活躍する長編本格派推理小説です。作品舞台が歓楽街と精神病院というのがうわーって感じで、さすがにこれは親が子供に勧めるタイプの作品ではありませんね(笑)。トリックには一部不満もありますが謎解きプロットは結構しっかりしています。1番力を入れているのが人間性の描写で、終盤で明らかになる人々の身勝手さは醜悪でさえありますが最終章の心を揺さぶられる悲劇性には一抹の美しさを感じます。なお光文社文庫版の「名探偵篇『十三角関係』」はシリーズ全作品(合作は除く)を1冊に収録していてとても便利です。

No.1 7点 斎藤警部
(2015/08/14 11:26登録)
*長篇単体です。光文社文庫より出た「傑作選名探偵篇」の方ではなく。

題名が目を引きますよね。

これはこれは、、眞犯人まったく分かりませんでした。 充分すぎるほど疑い得た人物なのに、これが心理の盲点というヤツか。。 そして殺人の動機、これだってその根源たる部分は思い当たって当然の所、いったい何に目くらましされたのか。

終結近く「噓倶楽部」でのふざけた問答から怖るべき告白合戦へ繋がって行く件(くだり)は推理小説として誠に重厚な一連の時間ですなあ。 ありゃグッと来ますよ。

ただ被害者が世にもグロテスクな状態で発見された経緯についての解決がね、ちょっと簡単に済ませ過ぎではないかとね。

しかしねえ、これだけ主要登場人物をいっぱい出しといて、それぞれの個性を苦無くちゃんと識別出来るってのは、立派な筆だね。

暗闇の中で実行された一連の云々とその背景がね、常より私の追い求める「悪魔的アリバイトリック」をちょっと掠ったかもね。。

4レコード表示中です 書評