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ミステリの祭典

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獏鸚(ばくおう) 名探偵帆村荘六の事件簿
帆村荘六シリーズ

作家 海野十三
出版日2015年07月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 ボナンザ
(2017/12/12 22:27登録)
海野の作品の中でも代表的なものを集めた短編集。超化学みたいなトリックもありますが、どれも楽しい。

No.2 5点 E-BANKER
(2017/02/08 21:13登録)
1928年『新青年』誌に「電気風呂の怪死事件」を発表しデビュー。以降、科学トリックを用いた作品を発表し、日本SFの先駆者と呼ばれる作家・・・海野十三。
本作は名探偵・帆村荘六が活躍するシリーズのうち、比較的初期のものを集めた作品集。

①「麻雀殺人事件」=帆村荘六初登場の作品は、雀荘のなか、名探偵の目の前で起こった殺人事件という、いきなり難しいテーマ。正直、真相は腰砕け気味なのだが・・・
②「省線電車の狙撃手」=省線(=山手線)内で連続して起こる銃殺事件。果たして真犯人は車内から狙撃したのか、車外から狙ったのか?という刺激的な設定。まぁ電車の窓が自由に開け閉めできた時代ならでは。図解入りで説明されているが、今ひとつピンとこない。時代の壁かな?
③「ネオン横丁殺人事件」=まさに科学トリック!って感じなのだが、あまりにもデフォルメされててよく理解できない・・・
④「振動魔」=スゲエ・・・。こんなトリックが存在したなんて! これって科学なのだろうか?
⑤「爬虫館事件」=何だか「館」シリーズのようなタイトルだが、まるで関係なし。これは・・・科学というよりオカルトに近いのではないか? 仮面ライダーV3のライダーマンをちょっと思い出した(古いな!!)
⑥「赤外線男」=これはさらにスゴイ! が、しかし凄すぎてもはや状況がよく呑み込めない!
⑦「点眼機殺人事件」=この死因はスゲエな! これで本当に人は死ぬのだろうか? だったら、サラリーマンは気を付けよう(特にメタボの人)!
⑧「俘囚」=これもスゴイ・・・というか正直理解不能だった。でもコワイ!
⑨「人間灰」=う~ん。何なんでしょうね?
⑩「獏鸚」=表題作だけあって、もしかしたら一番まともなミステリーかもしれない。結構練られた暗号ミステリー。

以上10編。
本作や作者の歴史的価値は認めるが、読み進めるのが結構苦痛だった。
なんて言うのかなぁ・・・
特段エログロっていうわけでもないし、骨格はちゃんとしたミステリーっぽい作品が多いんだけど、何か居心地が悪いというか、ムズムズするような感覚にさせられた。

時代背景もあるだろうし(昭和一桁だもんな)、やむを得ないんだろうけど、好みでないのは間違いない。
東京創元社から続編が出てるけど、読まないかな・・・

No.1 6点 kanamori
(2015/08/20 18:52登録)
戦前にSF、奇想、探偵小説を中心に作品を発表した海野十三の短編傑作選。ちくま文庫の海野十三集「三人の双生児」を底本に増補し2巻に分けた創元推理文庫版で、1巻目の本書は作者の創造した名探偵・帆村荘六もの10編が収録されています。

理科学の知識を駆使したミステリというのが帆村荘六シリーズの特徴で、それを密室トリックに活かした「ネオン横丁殺人事件」や、走る列車と弾道軌跡の問題の「省線電車の射撃手」などは、割とまともな使われ方をしているが、そのぶん物足りなさも感じます。やはり、奇想天外なバカトリックや、グロい内容の下記のような作品が印象に残りますねw
「爬虫館事件」は、失踪した動物園の園長の所在を巡る謎で、予想の斜め上を突く真相がグロい。悪魔的な犯罪計画を描いた「振動魔」もグロさでは負けていない。
「赤外線男」は、長編の『蝿男』を思わせる”名探偵VS見えない怪人”という構図のスリラーながら、伏線が効いた謎解きものとしても面白い作品。
初読の表題作「獏鸚」は、いわば”暗号ミステリ”ですが、凝りすぎていて解法にカタルシスを感じなかった。
総体的に収録作は人体(生体、死体を問わず)をアレコレする話が多いので、そういうのが苦手な人にはあまりお薦めできません。

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