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ミステリの祭典

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悪魔の羽根

作家 ミネット・ウォルターズ
出版日2015年05月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 5点 YMY
(2024/06/08 22:34登録)
二〇〇四年、殺戮の巷バクダッドで拉致監禁され三日後に解放された記者コニー。一切の質問に答えることなくイギリスへと帰り、絵に描いたような田園地帯の古屋敷に隠棲することにした彼女の身に、一体何が起きたのか、そして何が起きようとしているのか。
可視化と繋がりが急激に進む世界にあって、凄惨な目に遭ったコニーは、田舎町の人間関係に否応なく巻き込まれつつ、過去と対峙し、脅威に立ち向かわなければならない。謎解きの興趣とサスペンスの妙味を堪能できる。

No.3 6点 八二一
(2022/06/23 20:19登録)
国際報道に携わる女性記者が紛争地で監禁される。解放後、英国で暴力の記憶に苦しむ彼女に、隣人を巻き込んだ対決の時が迫る。
男性と女性、加害者と被害者、命ずる者と従う者というい非対称な関係を覆すべく反転するヒロインを描く心理サスペンス。

No.2 5点 蟷螂の斧
(2016/03/09 17:44登録)
主人公は何者かに拉致監禁され、3日後に解放されます。なんと無傷であり、警察には曖昧な証言ばかりを繰り返します。何かを隠しているという謎でひきつけられますが・・・・・・。しかし、急に逃避先である農村での出来事に物語が移ってしまいます。この部分が、かなり冗長でありサスペンス感の乏しいものになってしまいました。後半の主人公と警察とのやり取りについては迫力があり、その点、著者らしさを感じることができました。

No.1 7点 kanamori
(2015/08/11 00:00登録)
ロイター通信社の女性記者コニーは、取材先のバグダッドで元傭兵の英国人に遭遇し、拉致監禁されてしまう。その男マッケンジーは、2年前にアフリカの地で少女5人を殺害した真犯人だと彼女が疑っていた人物だった。コニーは3日後に無傷で解放されたが、なぜか監禁事件の証言を拒否、英国に帰国しドーセット州の農村に一軒家を借り隠れ住むという行動をとる----------。

小説の主題や物語の本筋が途中まで読んでもなかなか掴み難いミステリです。
あらすじ紹介からは、”サイコパスVSヒロイン”という定型の構図のサスペンスと受け取られかねない(実際、そのような展開にもなります)が、読者の予想を裏切り、コニーの一人称で語られる物語は、バートン・ハウスというコニーが借り住む古屋敷の所有関係者と近隣住民の軋轢、人間模様が中心となります。その中でも、古屋敷の使用人の家系で、農場主の女性ジェスとコニーの一風変わった信頼関係が終盤の急展開の伏線となっているのですが、本筋からずれていくように見える中盤は、別々の2つ小説を一緒に読んている感じで、戸惑ったり退屈を覚えるかもしれません。
しかし、心理サスペンスから本格ミステリ風に変貌し主題が見えてくる終盤はやはり圧巻と言えるでしょう。ネタバレぎみにはなりますが、主人公=被害者=容疑者(真犯人?)=探偵役という趣向はもとより、ある人物の明示されない処理など、読書会などで語り合いたい要素が多い作品です。

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