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ミステリの祭典

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犬はまだ吠えている
ウェストレイク医師

作家 パトリック・クェンティン
出版日2015年04月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 7点 あびびび
(2017/07/16 23:51登録)
何十冊、何百冊とミステリ小説を読んでいると、この物語の犯人はぼんやり浮かんでくる。ただし、物語の最中でも語られていたが、その動機が分からない。後から、実はこういう関係だっと明かされるのだが、確かに最初にその人間関係が露見していれば、事件はあっという間に解決され、ミステリ小説ににならないだろうと思った。

内容は悪くないのだが、そこにジレンマを感じた。

No.3 5点 蟷螂の斧
(2015/08/07 17:32登録)
裏表紙より~『その日のキツネ狩りの「獲物」は頭部のない若い女の死体だった。悲劇は連鎖する。狩猟用の愛馬が殺され、「何か」を知ってしまったらしい女性も命を奪われてしまう。陰惨な事件の解決のために乗りだしたドクター・ウェストレイク。小さな町の複雑な男女関係と資産問題が真相を遠ざけてしまうのだが…。』~
ピーター・ダルース夫妻シリーズとは全くタイプの違った猟奇的な雰囲気の作品でした。物語の展開がやや遅いことと、動機の後出し的なところがマイナスポイントですね。名馬殺害の理由は印象に残ります。

No.2 6点 kanamori
(2015/05/10 13:07登録)
狩猟クラブのメンバーとともに早朝のキツネ狩りで馬を走らせていた”わたし”は、キツネの巣穴に不審なものを見つける。農場の使用人が掘り返して出てきたものは、村から姿を消していた女性の胴体部分だった---------。

ウェッブがホイーラーとコンビを組んだ当初の’30年代後半は、”本格ミステリ作家”としてのパトリック・クェンティンの最盛期と言えるかもしれません。この時期は3つのペンネームを使い分け、並行して3つのシリーズをスタートさせています。すなわち------
①P・クェンティン名義のダルース夫妻シリーズ(1936年~8編、スピンオフ1編)
②Q・パトリック名義のトラント警部シリーズ(1937年~3編、その後’50年代に「女郎蜘蛛」などの脇役で復活)
③ジョナサン・スタッグ名義のウェストレイク医師シリーズ(1936年~9編)

本書は上記③で、10歳の愛娘ドーンと暮らす男やもめの医師、ヒュー・ウェストレイクを探偵役とするシリーズの第1作です。広大な森と農地が広がる田舎という舞台背景や、ウェストレイク医師の一人称による硬質な語り口、猟奇的な事件内容と不気味な雰囲気など、同時期のパズル・シリーズとはずいぶんテイストが異なります。トラント警部補ものと併せて、コンビ作家の役割分担がどうなっていたのか興味深いところです。
シリーズ全9作を解題した巻末解説によれば、戦後の後期作はスリラー、サスペンス寄りになるようですが、本作は限られた集団内の犯人当て本格で、メイントリックは予測しやすいものの、終盤の展開に緊迫感があり読ませます。ウェストレイク親子の交情もいいアクセントになっていて、今後の訳出が楽しみなシリーズです。

No.1 6点 nukkam
(2015/05/06 00:45登録)
(ネタバレなしです) リチャード・ウェッブとヒュー・ウィーラーのコンビ時代のパトリック・クェンティンはダルース夫妻シリーズが有名ですが、同時期にジョナサン・スタッグ名義で9作のヒュー・ウェストレイクシリーズも書いています。1936年発表の本書はシリーズ第1作の本格派推理小説です。猟奇的な殺人事件に加え、コブ警視に「この辺りじゃ誰も寝ないのか?」とうんざりさせるほど夜中に怪しげな行動をする容疑者たちが不気味な雰囲気を盛り上げます。残虐描写はそれほどきつくはありませんが仮に映像化したら凄いことになりそうです。動物たちの扱い方も巧妙です。謎解きとしては思い切ったどんでん返しに挑んでいるのが印象的ですが、動機の説明が後出し気味に感じられるのがちょっと惜しいです。

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