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ミステリの祭典

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折鶴

作家 泡坂妻夫
出版日1988年03月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 6点 虫暮部
(2024/02/09 13:20登録)
 いにしえの和の世界が、今の自分とも地続きの筈なのに異国の話のよう。単純に “時代の流れに乗り損ねた者の恨み節” とも言い切れない自己言及的な展開を孕み、重層的な興趣が柔らかな言の葉で編まれている。
 ただ、ミステリ部分が “諸要素の一つ” として紛れがちでどっちつかず。だったら刑事事件になるような展開は省いて人情話に徹した方が良かったかも。

No.3 5点 ボナンザ
(2018/08/22 20:46登録)
ミステリ短編集というよりはまさに泡坂の短編集というべきか。
味わい深い4品。

No.2 7点 kanamori
(2010/08/19 17:31登録)
恋愛ミステリ短編集。
4編収録されていますが、いずれの作品も和服の仕立てに関わる時代遅れの職人を主人公にしています。
ミステリ趣向を表立てることなく、男女の心情の綾を抒情的に描いた作品集で、小さな騙りが恋愛小説のなかに自然に溶け込んでいる創りは、正に職人芸の域です。なかでは、「角館にて」が個人的に気に入っています。

No.1 9点 Tetchy
(2007/10/17 17:12登録)
4作品、全てに通底しているのが登場人物達の頑なまでのストイックさ。
行間から市井の温かみが立ち上ってくるようです。
正に“職人”泡坂妻夫が丹念に織り込んだ短編集と云えるでしょう。

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