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ミステリの祭典

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ラスト・ワルツ
D機関シリーズ

作家 柳広司
出版日2015年01月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 6点 まさむね
(2023/05/14 14:21登録)
 シリーズ第4弾。安定して楽しめるシリーズで、本作でもD機関の異次元ぶりを堪能できます。
 個人的なベストは、伝説の超特急・あじあ号を舞台とした「アジア・エクスプレス」か。反転はもとより、絵的にも美しく纏められている印象。シリーズ第一作「ジョーカー・ゲーム」の雰囲気を最も色濃く残しています。次点は、この短編集のタイトルに繋がる「舞踏会の夜」。結城中佐がかっこよすぎます。

No.3 4点 haruka
(2016/07/09 22:26登録)
続編が出るたびに着実に質が下がっているような。
次回作は読まないかも。

No.2 6点 E-BANKER
(2016/04/19 21:28登録)
結城中佐率いるスパイ組織「D機関」の活躍を描く好評シリーズ。
「ジョーカーゲーム」「ダブルジョーカー」「パラダイス・ロスト」につづく第四弾。
なのだが、タイトルからしてこれで打ち止め・・・っていうわけじゃないようね・・・

①「ワルキューレ」=独ソ不可侵条約が締結され、日本とドイツの関係が怪しくなってきた時局が背景。ベルリンの映画撮影所内で起こるスパイゲームがテーマなのだが、いったい何重の騙し合いが演じられているのか? 現実と虚構の格差に付いていくのがやっと、っていう感じだ。
②「舞踏会の夜」=奔放に生きてきた侯爵家の三女が唯一ときめいたのは、暴漢たちから救い出してくれた礼装の紳士・・・。ということで、舞踏会ごとに男の姿を追い求める女性なんていうと主題はなに?と思ってしまうのだが、そこはやはりスパイが出てくるわけで・・・。結局礼装の紳士の正体はアノ人なんだよね。
③「パンドラ」=文庫版では書き下ろしの本作が追加編入されているのがお得。D機関とは若干のつながりしかないのだが、ロンドンで起こった密室殺人事件がテーマ。本作中では異色の本格ミステリー(?)
④「アジア・エクスプレス」=往年の鉄道ファンには垂涎の存在ともいえる満鉄の「超特急・あじあ号」を舞台に起きるスパイゲーム。久しぶりに登場した瀬戸の活躍が満喫できる一編。原点回帰したかのようなオーソドックスなスパイ小説。

以上4編。
さすがにシリーズ化、映画化までされただけのことはある。
それだけの安定感というか、劣化しない秀逸なプロットの面白さを感じる四編。
今回は、日独伊三国同盟~独ソ不可侵条約といった大戦前の緊張感高まる時代という舞台設定も効いている。

相変わらず影で存在感を見せつける結城中佐がスゴイ。
作者もいいキャラクター創ったよなぁー
シリーズは是非続けて欲しい。続編に期待!
(どれもなかなかの水準だが、敢えていえば原点回帰の④かな)

No.1 6点 kanamori
(2015/02/16 18:01登録)
”魔王”こと、結城中佐率いるスパイ組織”D機関”の暗躍を描くシリーズの第4弾。
収録3編ともに太平洋戦争前夜の時局を象徴するような舞台設定が魅力的で、敵側を騙すとともに読者も同様に騙すというシリーズの面白さが健在です。

「アジア・エクスプレス」は、満州鉄道を疾走する”あじあ号”を舞台に、ソ連の諜報機関”スメルシュ”の暗殺者とD機関との頭脳戦を描く。収録作の中ではもっともオーソドックスな騙し合いが楽しめる。
「舞踏会の夜」は、駐日アメリカ大使館で開かれた仮面舞踏会を背景に、華族出身の陸軍中将夫人の視点で謀略工作を描く。メロドラマっぽい回想が巧妙なミスディレクションになっていて、”ラストワルツ”というキーワードも利いている。
「ワルキューレ」は、ゲッベルス宣伝相の肝入りの、ナチスドイツ映画撮影所で繰り広げられるスパイ工作を描く中編。ちょっと主題がわかりずらいが、D機関が陸軍所属ということがポイントかな。映画と実際のスパイ活動との違いが皮肉的に描かれている。

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