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ミステリの祭典

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二重螺旋の誘拐

作家 喜多喜久
出版日2013年11月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 7点 まさむね
(2021/06/22 22:53登録)
 なかなかの良作だと思います。
 真相の一部(といっても、ほんの一部)は容易に想像がつくのですが、違和感が常につきまといます。とある書きぶりから「きっと、あの手法を使っているのだろう」と想定はしたものの、「いや、それでは辻褄が・・・違うのか?」と思わせられてしまい、あの事実には気づけなかった。伏線は十分にあったのですがねぇ。違和感の正体を、もっと慎重に吟味しとけば良かったなぁ。ミスリードにもやられましたねぇ。外角へのボール1つ分の出し入れで勝負され、見逃し三振に仕留められた気分(意味不明?)。でも、負けて悔しがれるって幸せですよね(これも意味不明?)。
 ちなみに、甘めのラストについては、何か都合よすぎないか、本当に大丈夫なのかと思わずにはいられませんでした。これって、私だけじゃないはず。

No.3 6点 蟷螂の斧
(2015/06/01 08:08登録)
本来であれば、もっと高評価としても良いかなと思いますが・・・う~ん微妙(苦笑)。少し欲張ってしまったことにより、サプライズが分散し弱まってしまったようですね。二重螺旋というアイデアが良かっただけに、あるトリック(一人称の物語)一点集中の方がインパクトが強かったかも。作風がやや軽めのため、誘拐ものとしての緊迫感が希薄であったことが残念な点です。

No.2 7点 makomako
(2015/01/12 09:27登録)
 誘拐の話は好みではないのですが、これは気分よく読めました。最後まで読むと色々な仕掛けがしてあることがわかるのですが、大体のトリックに騙されっぱなしとなる私でも、このメインのトリックは途中でわかってしまいました。ちょっと残念。私もミステリーのすれっからしとなりつつあるのでしょうか。
 だからといって話の面白味が失せるということはなく、最後まで興味深く読みました。
 終わり方も悪くない。こういった作風は好みです。

No.1 7点 メルカトル
(2014/11/02 22:16登録)
帯の「二度読み必至」の文字に惹かれて購入してみた、どうせハッタリだろうと舐めていたが、本当に読み返すことになろうとは思ってもいなかった。勿論、最初から最後まで通して二度読みしたわけではない。私とてそれ程暇ではない。だが、要所をかいつまんで読んでみると、上手く仕掛けが隠蔽されていると同時に、かなりあからさまな伏線が張られていることに驚かされる。慎重に注意深く読み進めれば、作者の企みに気づくことも十分可能であると思う。が、やはり綺麗に騙される快感を味わうべき作品なのかなとも考える。
本作は二つのストーリーが並行して進行し、その両サイドがともに誘拐が絡んでくるという特殊な構成になっており、実はそこに作者の企みが潜んでいるわけである。無論、両者は有機的に繋がりを持っており、入り乱れる人間関係や事件をドキュメンタリータッチで追うサスペンスフルな構造は見事と言ってもよいだろう。
ただ気になるのは、誘拐をテーマにしているわりには全体的に小ぢんまりとまとまり過ぎて、スケール感が物足りない点である。だが、小品ながら気合の入った力作なのは認めざるを得ないと思う。

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