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ミステリの祭典

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鐘楼の蝙蝠
マクドナルド警部

作家 E・C・R・ロラック
出版日2014年03月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 弾十六
(2020/12/06 19:51登録)
1937年出版。マクドナルド首席警部シリーズ第12作目。
うーん。途中までは実に素晴らしいんだけど、第11章以降が弱いなあ。でもマクドナルド警部のキャラ描写は凄く良い。それだけに後半がねえ…
冒頭の人物の書き分けが不十分で頭がちょっと痛くなるけど、物語が進めばキャラは立ってくるので問題なし。推理味は薄め。だから後半にあーゆー展開必要ある? キャラ描写メインで勝負すれば良いのに… あとちょっとマクロイさんと共通する弱点を感じた。踏み込みギリギリの描写が時々あると思う。
以下トリビア。徐々に書き足していきます。
p12 殺人ゲーム(Everyone plays these murder games)♣️
p13 十ポンドかそこらで買える車♣️中古車
p15 推理小説(thrillers)♣️この単語は意外。detective storiesだと思った。
p25 大きな縁の、巨大な凸レンズのはまった眼鏡(huge convex lenses set in the widest rimmed specs)♣️
p26 安っぽい犯罪小説(penny dreadful)♣️
p29 十八日の水曜日♣️p17で来月一日はエイプリルフール、との発言があるので、これは3月18日。直近では1936年が該当。
(2020-12-6記載。続く)

No.3 5点 E-BANKER
(2016/08/21 18:42登録)
1937年発表。
全部で四十七編からなるマクドナルド主席警部登場作品のうちのひとつがコレ。
作者の作品は「悪魔と警視庁」に続いて二作目だが、女流作家というのは今回初めて気付いた・・・

~作家ブルース・アトルトンはドブレットと名乗る怪人物に執拗につきまとわれていた。彼の身を案じた友人の頼みで記者グレンヴィルは、ドブレットの住む荒れ果てた建物<鐘楼>を突き止めるが、戸口に現れた髭と眼鏡の男に追い払われてしまう。翌日、無人となった建物に入り込んだ彼は、地下室でブルースのスーツケースを発見する。一方、パリへ旅立ったはずのブルースはそのまま消息を絶っていた。通報を受けた警察が建物の調査に乗り出すと、壁の中から首と両手を切断された死体が・・・~

最初に書いたとおり、ロラックの作品も二作目なのだが、なにかちょっと惜しいような、なにか足りないような・・・
そんな気にさせられる作品だった。
紹介文を読んでいると、まさに本格ミステリー黄金期、猟奇的でおどろおどろしい、まるでカーのような雰囲気を想像してしまうのだが、実際には軽さというか、悪く言うと「薄さ」を感じさせる作品。

「どこが薄いのか?」
と問われれば、「全て」ということになるかな・・・
怪人物やら首のない死体やら、いかにもファンが喜びそうな材料が序盤から示されているのだが、それが疑似餌なのは明らか。
それはそれでいいんだけど、どうにもそれらすべてが必要性というか必然性のないものばかりに思えるのだ。
結局、真犯人っていったい誰をスケープゴートにしたかったのか?
(それが怪人物っていうなら、あまりにお粗末だろうし・・・) などなど

どうにも“ファンにウケそうな材料を取り揃えました!”感がありすぎて、それが「薄さ」に繋がっているのだろう。
ラストのサプライズも予定調和というレベル。
ちょっと辛口すぎるかもしれないけど、四十七編も続いたということは、人気のあったシリーズなんだろうな・・・
もしかして読み方が悪いのか?

No.2 6点 nukkam
(2014/08/14 18:35登録)
(ネタバレなしです) 1937年発表のマクドナルド警部シリーズ第12作です。相次ぐ失踪事件、ついに死体が発見されたと思えば首なし死体と雲をつかむような状況が続きます。マクドナルドの捜査も少しずつ進展はしているのですが、一方で頭のいい犯人に巧妙にミスリードされているのではという不安がつきまといます。退屈ぎりぎりで踏みとどまったのは後半の展開が変化に富んでいることと(演出は抑制を効かせ過ぎという気もしますが)、最終的に5つの仮説を組み立てて犯人に迫るマクドナルドの丁寧な謎解きがあってのものです。

No.1 5点 kanamori
(2014/04/07 18:47登録)
作家のブルースは、ドブレットと名乗る謎の人物に付きまとわれ神経をとがらせていた。心配する友人の依頼を受けた新聞記者がドブレットが住む廃屋同然のアトリエを突き止めると、その部屋の壁の中から頭と両手首のない死体が-------。

身元不明の遺体発見と時を同じくして、作家ブルースとドブレットの失踪のみならず、ブルースの妻で女優のシビラまで所在不明になり、マクドナルド首席警部の地道な捜査もなかなか核心に迫らないので、序盤から中盤にかけての展開は何かとらえどころがない。唯一、ブルースの被後見人エリザベスの現代娘的キャラが立っていて読ませるぐらいで、やや起伏に欠ける感じも受ける。
終盤になると、マクドナルド警部が5つの仮説を立てるや、物語も急展開となり捜査小説としてようやく面白くなるのですが-------、しかし、本書は本格ミステリとして読むと次のようないくつかの問題点や疑問点があるように思われる。
(以下ネタバレ)

1、血縁関係を最後まで伏せて動機があることを明示しないのはアンフェアでは。
2、本書のパスポートによるアリバイ工作は現実的に可能とは思えない。
3、死体を損壊し身元不明にした意図がわからない(かえって犯人の目的に不都合のような気がする)。

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