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ミステリの祭典

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三秒間の死角
エーヴェルト・グレーンス警部

作家 アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム
出版日2013年10月
平均点7.25点
書評数4人

No.4 7点 YMY
(2024/02/13 22:18登録)
法治国家の抱える矛盾と限界に苛立ちつつも、国境を越えて流入する凶悪犯罪の真相追求に執念を燃やすストックホルム市警のエーヴェルト警部と、刑務所という闇の奥へと潜入し孤立無援の中、ミッションを遂行する潜入捜査員ホフマン。
この二人の視点を中心に、北欧警察小説のお家芸である犯罪によって人生を狂わされた個人と社会の関係を真摯に見つめる物語に、ひりつくような冒険小説の面白さが加わり、その上、大胆かつ入念に構築された謎解きの妙味も味わえる。

No.3 7点 蟷螂の斧
(2019/10/12 23:27登録)
英国推理作家協会賞受賞、スウェーデン最優秀犯罪小説賞受賞。裏表紙には上下とも、あらすじが全開となっています。冒険小説風なものに、この手の紹介文が多いような気がします。警察小説のシリーズものに該当するみたいですが、内容はストックホルム警察の潜入捜査員(元犯罪者)が刑務所に侵入する話が中心となっています。題名の「3秒間」は別に謎ではないのですけれど、成る程と思いましたね。テンポはいいのですが、やや侵入捜査員の妻と子どもの描写が物足りなかったかな・・・。この11月に映画が公開されます!(こちらはFBI)

No.2 7点 小原庄助
(2017/07/01 10:37登録)
警察の潜入捜査官パウラは麻薬シンジケートをつぶすため、囚人を装い刑務所で活動することになる。
危険な潜入捜査の緊迫感が、作品全体にピーンと張りつめており、舞台が刑務所に移るとさらに強まり、ページをめくる手が止まらなくなる。
非情で利己的な政府首脳と比して、孤独なパウラの計画がいっそう鮮やかに感じられ、喝采を送りたくなる。
見事に構成された冒険小説。

No.1 8点 kanamori
(2013/12/03 18:41登録)
スウェーデン警察の潜入捜査員ホフマンは、犯罪組織から、囚人となって刑務所内に麻薬密売の拠点をつくるという新たな任務を与えられる。一方、麻薬取引に絡む殺人の捜査で、グレーンス警部の追及の手は刑務所内のホフマンに迫っていく-------。

ストックホルム警察のエーヴェルト・グレーンス警部シリーズの5作目(邦訳は4作目)。
警察上層部の秘密工作を知らされず捜査を続けるグレーンス警部の視点で描く警察小説風のパートと、犯罪組織の中枢まで潜り込み、刑務所内で苦境に立たされる元犯罪者の潜入捜査員ホフマン視点のスパイ冒険小説風のパートが、交互に描かれる構成が巧みです。
ともに魅力的なダブル主人公が交差するクライマックス場面も非常にスリリングですが、物語がどう転がるか見当がつかない前半部が読み応え十分で、今年読んだ警察小説のなかでは断トツに面白かった。
ただ、タイトルが平凡で工夫がないうえに仕掛けの部分のネタバレにもなってしまっているのが少々もったいないです。

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