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ミステリの祭典

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ようこそ、わが家へ

作家 池井戸潤
出版日2013年07月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 7点 itokin
(2016/09/15 16:45登録)
日常生活での誰でも巻き込まれそうな出来事なので興味深く読まされた。少し展開にご都合主義が見られ、心に残る深みとか感動もないのでこの点数です。氏も、サラッと書かれたのでしょう。

No.3 5点 メルカトル
(2015/05/18 22:10登録)
ドラマ化されたのを観るともなく観ていて、そこそこ面白そうだったので読んでみた。ドラマのほうは登場人物を増やしていたり、エピソードを膨らませてみたりして、かなり脚色しているが、それが功を奏しているようである。個人的にはドラマのほうが面白そうな印象を受ける。
原作は思ったよりあっさりしていて、正直読み応えがあるとは思えない。ただ、主人公の倉田はどこにでもいそうな弱々しい、銀行からの出向組で、中年の悲哀が感じられたりして感情移入しやすいのは間違いない。
帰宅する電車への割り込みを注意したため、逆恨みで付け狙われるサスペンスのパートと、倉田が会社内で不正を暴いていくパートの、全く異なる二つの小説を交互に読んでいるような錯覚を受ける。どちらも均等に描かれているが、双方ともやや中途半端な感じがしないでもない。池井戸氏らしく堅実に描かれているが、個人的には面白みに欠けるきらいがあるのはマイナス点かも知れない。

No.2 6点 haruka
(2014/02/03 23:41登録)
平凡なサラリーマンを襲う日常の恐怖。ストーカー事件と会社の不正問題が同時進行で語られていく。最初は半沢シリーズの倍返しに似た展開かと思ったが、主人公は半沢より貧弱で、感情移入しやすい。

No.1 7点 E-BANKER
(2013/09/23 16:57登録)
『半沢直樹』が空前の大ヒット!
デビュー当初から作者の作品を読み続けてきた読者からすると、うれしいような寂しいような・・・
そんな複雑な気持ちを抱きながら手に取った本作は文庫オリジナルという今時珍しい作品。
(ハードカバーで出す方が作者も出版社も儲かるように思えるのだが・・・違うのかな?)

~真面目だけが取り柄の会社員・倉田太一は、ある夏の日、駅のホームで割り込み男を注意した。すると、その日から倉田家に対する嫌がらせが相次ぐようになる。花壇は踏み荒らされ、郵便ポストには瀕死のネコが投げ込まれた。さらに、車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかった。執拗に続く攻撃から穏やかな日常を取り戻すべく、一家はストーカーとの対決を決意する。一方、出向先のナカノ電子部品でも、倉田は営業部長に不正の疑惑を抱いたことから窮地へと追い込まれていく。直木賞作家が身近に潜む恐怖を描く!~

本作も「いかにも池井戸潤!」。「池井戸テイスト」たっぷりの作品。
しかも、最近の「下町ロケット」や「ロスジェネの逆襲」といったベストセラー作品ではなく、ひと世代前の池井戸作品の雰囲気が漂う。
ということで、にわかファンにはやや食い足りないように見えるかもしれないが、個人的にはむしろ新鮮に思えた。

本作は、主人公である気弱な50代の銀行員・倉田を軸に、倉田一家が巻きこまれるストーカー事件と、倉田の出向先で起こる横領事件の二つがほぼ同時進行していく。
そして、この倉田が実に人間臭いのだ。
真面目で気弱、出世はほどほどで良い、面倒なことにはあまり関わりたくない・・・(年齢以外は何となく自分自身にシンクロしてきた)
こんなどこにでもいそうなオッサンが、事件に巻き込まれることで、自分自身を見つめ直し、そして成長していく物語なのだ。
それも、「倍返しだ!」などと格好良くキメるのではなく、悩みながら半分ビクビクしながら・・・

やっぱり、どんな人間でもその人なりの「矜持」というものがあるのだろう。
サラリーマンやってると、つまらない見栄や取るに足りない優越感をついつい抱きがちだけど、そんなことじゃないんだよねぇ・・・
そんなことを考えさせられ、そして爽やかなラストに癒された。
もはや名人芸だね。
(マンネリと思う方もいるだろうが・・・)

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