home

ミステリの祭典

login
目撃者 死角と錯覚の谷間
和南城夫妻シリーズ

作家 中町信
出版日1994年03月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2023/12/25 15:54登録)
(ネタバレなしです) 翻訳家の夫・健と時代小説家の妻・千絵の和南城(わなじょう)夫妻シリーズ第1作の本格派推理小説で1994年に発表されました。夫婦間の役割設定は氏家周一郎シリーズに近いですが、本書では千絵の妹・香織が死ぬという設定のためかユーモアは感じられません。地震の落石で死亡したとされる香織は子供の飛び出しを誘ってひき逃げ死亡事故のきっかけになった男(逃亡)とひき逃げ犯の女(逃亡)を目撃しており、夫妻は殺されたと考えてひき逃げ事故の関係者を調べていきます。千絵が感情的になって具体的な根拠もなしに殺人と決めつけるのはまあわかるのですが、それに異を唱えない健は名探偵役としてはどうかなという気もします。とはいえこの作者らしく密室にダイイング・メッセージ、どんでん返しの連続と本格派としてのツボはきっちり抑えた作品です。ダイイング・メッセージの謎解きがなかなか変わっていて、kanamoriさんのご講評でも紹介されているように部屋を暗くすることが被害者の狙いではという推理は興味深かったです。

No.2 7点 測量ボ-イ
(2022/01/02 09:13登録)
謎の設定とスト-リ-展開が絶妙で、楽しく読めました。
そんなに著名な作家ではありませんが、どれも粒よりで、
他の作品にも手を出してみたいですね。
採点は8点(基礎点)-1点(密室・ダイイングメッセ-ジがいま一つ)

<ここからネタばれ>
プロローグで読んだ違和感をそのまま信じれば良かった・・・
推理を捻り過ぎて、真犯人の指摘に失敗 笑

No.1 6点 kanamori
(2016/03/20 00:14登録)
幼い子供2人を犠牲にした轢き逃げ事件の目撃者・香織が、白骨温泉で不審な状況で死亡する。義兄の和南城健は、事故現場から姿を消したもう一人の目撃者が事件の鍵を握るとみて、妻の千絵とともに関係者を訪ね廻るが、さらに第2、第3の殺人が--------。

夫は売れない翻訳家で、妻は時代小説作家という、和南城夫妻を素人探偵コンビに据えたシリーズの第1作。探偵活動と謎解き披露のお膳立てまでを主導するのは妻の千絵だが、最後に真相を言い当てるのは夫.......キャラクターを変えても、基本設定は氏家周一郎シリーズと同じですw
本作も意味深なプロローグに始まり、真相を知る人物がバッタバッタと殺され、密室あり、ダイイングメッセージありで、中町ミステリお約束のガジェットが一通り揃っています。
密室からの犯人消失トリックはやや拍子抜け(しかも過去作の二番煎じ)ですが、部屋のブレーカーを落として暗闇にするというダイイングメッセージの”ホワイ”がユニークで意表を突かれます。これは考えましたね。
連続殺人の構図をミスリードする手際も相変わらず巧く、この時期の作品のなかではまずまずの出来と言ってもいいのではないでしょうか。

3レコード表示中です 書評