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ミステリの祭典

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厭な物語
文春文庫

作家 アンソロジー(出版社編)
出版日2013年02月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 5点 メルカトル
(2024/02/14 22:11登録)
誰にも好かれ、真っ当に生きている自分をさしおいて彼と結婚するなんて。クレアは村の富豪の心を射止めた美女ヴィヴィアンを憎悪していた。だがある日ヴィヴィアンの不貞の証拠が…。巨匠クリスティーが女性の闇を抉る「崖っぷち」他、人間の心の恐ろしさを描いて読む者をひきつける世界の名作を厳選したアンソロジー。夢も希望もなく、救いも光明もない11の物語。パトリシア・ハイスミス、モーリス・ルヴェル、ジョー・R.ランズデール、シャーリ・ジャクスン、フラナリー・オコナーらの珠玉のイヤミス集。翻訳文学未体験者もゾクゾクしながら読める短篇揃い。有名作から、隠れた衝撃作まで、一人では抱えきれない「厭な」ラストを、ぜひ体験してみてほしい。
Amazon内容紹介より。

印象に残ったのはパトリシア・ハイスミスの『すっぽん』(既読)、シャーリィ・ジャクソン『くじ』、ローレンス・ブロック『言えないわけ』位です。『くじ』は有名作で期待していましたが、それ程でもありませんでした。いずれも先が読める作品なので、評価としてはあまり高得点は付けられないですね。他は訳が分からないものとか、退屈さを覚えるもの等、とても褒められたものではありませんでした。

こう云うのを読むにつけ思うのは、やはり日本のミステリは世界一だという事です。あくまで個人の感想ですので、お前が言うなというご意見は甘んじて受けますが、日本を除いた全世界が束になってかかっても日本のミステリには勝てないと思います。特に本格ミステリに関してはレベルが違い過ぎると言っても過言ではないです。古典はその限りではありませんけどね。
本作品集もジャンル的にはイヤミスになるかと思われますが、日本のイヤミスの方が洒落の効いた粋な短編が多いですよ。何度も言いますがあくまで個人の感想です。

No.4 6点 蟷螂の斧
(2022/01/24 17:07登録)
「厭な物語」というより「不快な物語」が2作品あった。選者のセンスに疑問符
①「崖っぷち」アガサ・クリスティー 8点 「マン島の黄金」で書評済
②「すっぽん」パトリシア・ハイスミス 6点 母が料理用として買ってきたすっぽんを飼いたいという息子は・・・既読感あり
③「フェリシテ」モーリス・ルヴェル 6点 娼婦はある男と毎週土曜日の2時間だけデートするようになり・・・女性に人気のある作品らしい
④「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」ジョー・R・ランズデール 1点 エログロ・バイオレンスに人種差別
⑤「くじ」シャーリイ・ジャクスン 7点 「くじ」で書評済
⑥「シーズンの始まり」ウラジーミル・ソローキン 7点 狩猟シーズンが到来し二人の男が森へ・・・自然の風景とラストのギャップがいい
⑦「判決」フランツ・カフカ 5点 遠く離れた友人に結婚を知らせようと、父親に話したところ・・・1912年の作品。現代ではあり得ない?
⑧「赤」リチャード・クリスチャン・マシスン 7点 彼は身をかがめて拾えるものを拾い、先を注視しながら歩き出した・・・衝撃的ではある
⑨「言えないわけ」ローレンス・ブロック 6点 強姦魔の死刑囚は被害者の兄を懐柔して死刑回避を狙うが・・・
⑩「善人はそういない」フラナリー・オコナー 2点 旅行に出かけた家族が脱走犯に・・・
⑪「うしろをみるな」フレドリック・ブラウン 7点 「真っ白な嘘」で書評済

No.3 6点 猫サーカス
(2019/01/04 18:48登録)
タイトル通り人間の醜い本質、運命の非情さを描いた〝厭”な作品が集められている。「くじ」はもはや古典だが、改めて人間の残酷さにゾッとさせられる。クリスティの「崖っぷち」は、誰にもこういう願望があるのでは、と思わせるところがさすがだ。〝厭な”というより哀切な「フェリシテ」も余韻を残す。11名の海外作家による後味の悪さが楽しめる作品集。

No.2 6点
(2014/11/04 09:52登録)
クリスティー、ランズデールなど11名の作品を集めたアンソロジー。
基本的には、後味の悪さを狙った作品集だが、中途での厭さを感じられるのもある。
11編もあるので、読み進むうちに厭度は積み重なってくる。

ローレンス・ブロックの「言えないわけ」は、他の作品にくらべ物語自体がおもしろく、個人的にはベスト。なんとなく先を予想しやすいが、最後の最後は想像がつかなかった。この終わり方にはどう反応していいのだろうか、不気味さ、怖さが引き立ててあった。
次点は、カフカの「判決」と、リチャード・クリスチャン・マシスンの「赤」。「赤」は数ページの超短編でなんども読み返した。
ハイスミスの「すっぽん」は、少年視点でさらっと書かれているが、じつはかなり厭な感じがする。ルヴェルの「フェリシテ」は後味の悪さでは抜群の出来。

最悪な読後感を望んでいるという読書人の隠れた実態が、湊かなえの「告白」によって判明した。「告白」のこの効果は大きかった。
「告白」を読んだときはほんとうに驚いた。こんな厭な話でよく売れたな、と。てっきり、さわやかに締めくくるものと思っていただけに、衝撃だった。
本短編集でも満足感が得られたので、自分もごく普通の感性を持ち合わせていることがあらためてわかった。
「もっと厭な物語」という続編もあるので、それにも期待しよう。

No.1 8点 mini
(2013/04/05 09:58登録)
ど~も、グルメリポーターのminiで~す
湊かなえシェフがきっかけとなり昨今巷で話題の”イヤミス味”ブームに乗って先月に開店した後味の悪いレストランの取材に行ってきましたので今日はそのリポートを、その名も文春系列店の『厭な物語』店です
ここでは各国から招待された、厭な味の名料理人たちの競演が味わえるのですよ、まさにイヤミス味の宝石箱や~
出来れば表看板のデザインにはもっとインパクトが欲しかったところでございましょうか、もっと不快で薄気味悪くても良かったですね

各料理人達の国籍もヴァリエーション豊富なんですよ、古いフランス料理から伝統のイギリス料理、チェコのドイツ風不条理料理、ボルシチやピロシキだけじゃないロシア料理まであります
中でもランズデール料理人の作るアメリカ南部の風土料理はゲテモノ美食ファンにはお薦めの逸品でございます
アメリカ南部料理で胸焼けを起こしそうになった方には、同じアメリカ料理でもS・ジャクスン料理人のピリッとスパイスの効いた料理や、クリスチャン・マシスン・ソムリエが選ぶ赤ワインが口直しになるでしょう
このマシスン・ソムリエはあの伝説のリチャード・マシスン料理人の御子息なのでございます、二世料理人は土井善晴や陳健一だけじゃないんですねえ

食材的には精力付きそうな”すっぽん料理”などもございますが、グルメの私としましてはヌメヌメとした気色悪い生物なども食材に加えて欲しかったところですね
ウラジーミル・ソローキンは昨今話題のロシア料理人でございまして、この手のイヤミス料理ではありがちな食材ですが調理法に一工夫凝らしております
ローレンス・ブロック料理人は和洋中華と何でも作れちゃう万能シェフでございますが、彼らしい料理でしょう

最後を締め括るデザートにはフレドリック・ブラウン料理人のスイーツが用意されていますが、これがちょっと私には疑問なのでございますねえ
私の採点が三ッ星ならぬ8点なのはそれが理由なのです、内容的には9点なのですが
ブラウン料理人の「後見スイーツ」は”イヤミス味”という趣向からはちょっと主旨が外れていると思うのですが
それとこの「後見スイーツ」は例えば全国チェーン系列のファストフード店などで食してこそ意味が有ると思われるのですが、このようなレストランで出す意義が感じられません、そんなわけで1点減点しました

企画自体はたいへん面白いので、早川レストランなど他社も追従企画やっても良いのではと思いました
今回行った『厭な物語』店は不快グルメファンには必食ですね、これだけのフルコース料理をワンコインちょっとで楽しめるのですからコストパフォーマンスは抜群
ではこれにてグルメリポートを終わります、また来週

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