今出川ルヴォワール |
---|
作家 | 円居挽 |
---|---|
出版日 | 2012年11月 |
平均点 | 4.40点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 4点 | 風桜青紫 | |
(2016/01/27 01:49登録) うーん、カイジみたいなギャンブルものをやってみたかったんだろうが、文章ではいまいち緊迫感が伝わらず、荒唐無稽なやり取りになんだか萎えてしまった。円居挽は仕掛け作りはうまいが、小説はどちらかといえば、ヘタな部類に入るだろう。横溝ネタや麻耶ネタも執拗すぎて少し興醒め。そもそもパロったところであまり意味があると思えないし。撫子の「女だからってナメんなよ」とか「男と女をくっつけるぜ!」みたいなノリもなんかねえ……。男が書いた女って感じが強くてダメだわ。円居挽はどうも本格ミステリ以外の小説をあまり読んでこなかったのではないかと思える。最後の大仕掛けなトリックはそこそこ面白かったので4点。うーん、期待と不安が入り交じる作家だ。 |
No.4 | 4点 | 測量ボ-イ | |
(2015/12/19 13:27登録) 本格度が低く、正直期待はずれ。 登場人物表に載っていない人間が多く、人間関係の把握が難しかった です(こういうの苦手だ・・・) シリ-ズの他の作品の方が評判良さそうなので、いずれそちらに手を 出してみます。 |
No.3 | 5点 | 505 | |
(2015/10/12 19:49登録) このシリーズの骨格でもある私的裁判の『双龍会』を前座に据えることで、今までの作品とは趣の違う物語となっているのが特徴的。シリーズ特有の登場人物たちの青春群像劇を進めていく上で、今まで語られずに伏せられていた達也の過去が密接に絡むストーリーとなっているが、一先ず綺麗に収まるところに収まり、完結編への強烈な余韻を残すという幕切れが印象的である。 本作では『双龍会』のシーンは言うならば茶番であるが、密室とアリバイが技巧的に絡んだ状況をギリギリの攻防を繰り広げるという点で、油断ならない質である。 明らかにカーの『ユダの窓』に似た状況をベースに、〝達也自身が口を閉ざしている〟という難しいパターンを加味して、青龍師側は勝利に持っていくプロセスが描かれており、なんともスリリングである。その流れの中で、達也の過去が明らかになるというストーリーラインが巧妙に絡むことで、達也の目的が明瞭となる。そして、それ自身が〝手段〟であり、復讐への相手が一種のフーダニットであったことが分かり、そこに新たなハウダニットが添加されるという流れがスムーズである。 ミステリ・パートとしては、やはり『双龍会』が目玉であるが、本作ではそれよりもコン・ゲーム的な『権々会』がメインとして描かれている。強烈な騙し合いが二転三転する様は『賭博黙示録カイジ』を彷彿とさせる。これまでのシリーズを通して登場してきたキャラクター達が、新たな勝負事に興じることで、『双龍会』とは違う味が表現されているところがミソ。作者が用意したゲームの単純明快さ、そこに何でもありな破天荒な様が加わり、豪快な勝負になっているので、飽きる事無くゲームの行方を追うことが出来る仕組みとなっている。 『権々会』でのラストの大掛かりなトリックは、圧倒的に尽きる。交じるはずのなかった『双龍会』のシーンで使われたピースが、伏線として使われたのは巧妙。各自に独立していた舞台の装置が一つの作品として合わさる快感があり、爽快的であった。本シリーズの特徴の1つに、〝同じネタを敢えて使う〟があるが、本作もそれから外れず。期待を裏切らない出来であった。しかし、ミステリとしては前作ほどの仕掛けは無く物足りないか。 |
No.2 | 5点 | 虫暮部 | |
(2015/01/19 12:04登録) シリーズ3作目でミステリ要素は後退し、というか第一章(前半3分の1)に押し込んで、これで義理は果たしたとばかりに残りはギャンブルによるバトルに突入。意外に楽しめた。あくまで“意外に”であって、なにより“鳳”という遊戯があまり面白そうに見えない。あと、撫子という名前が西尾維新“物語シリーズ”の千石撫子と混ざって困る。 |
No.1 | 4点 | HORNET | |
(2013/02/16 13:37登録) 前2作の「双龍会」から今回は舞台を変え、「権々会」というギャンブルの大会(?)が物語のメイン舞台に。作者としては趣向を変えてシリーズの幅を広げたのであろうが、正直複雑で分かりにくく、今までのほうがよかった。 龍師達の独特の世界や背景、御堂達也の来歴や家族関係も、シリーズを重ねるごとに複雑になっていき、正直整理して理解するのが面倒になってくる。ある意味精緻なプロットなのかもしれないが、最後のほうは惰性で読んでいた。 こういうのが好きな人にとっては、逆に高評価になるかもしれない。好みが分かれるのではないかと思う。 |