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ミステリの祭典

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深い疵
オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン&ピア・キルヒホフ

作家 ネレ・ノイハウス
出版日2012年06月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 7点 HORNET
(2022/03/31 21:57登録)
 ミステリを嗜好していると自然に耳に入ってくる人気作家。手に取らないわけにはいかない、ということで日本で初刊の作品から読みに入った。
 ホロコースト、ナチという歴史的な色合いの強い作品という点は意外。しかしながら、詳しくなければ理解できないというわけではないので安心してよい。殺害現場に残される謎の数字、なんていう舞台描写は本格ミステリの嗜好性にぴったり合う。
 各作品それなりに厚みがあるようだが、没頭できる面白さ。順に読んでいきたいという気にさせる一作。

No.3 7点 小原庄助
(2017/10/30 19:02登録)
ドイツで累計200万部を超えたベストセラーシリーズの初翻訳。
ホロコーストを生き延びたユダヤ人として著名だった92歳の男性が殺害され、現場に謎の数字が残された。捜査にのりだす首席警部オリヴァーと部下の女性警部ピア。司法解剖の結果、被害者はナチスの武装親衛隊員だったという信じがたい事実が判明。第二、第三の殺人現場にも同じ数字が残され、被害者とナチスとの深い関係が浮かび上がる。
被害者たちの間にどんな関係があり、暗く悲惨な歴史と事件のつながりは何か?オリヴァーとピアはカギを握るとみられる旧家を調べ始める。
2人の緻密で精力的な捜査と並行して、一族をはじめ旧家に出入りする癖のある面々のたくらみや行動が多面的に描かれ、ストーリーはぐんぐん加速していく。
主人公たちの人物造形とプライベートの描写も興味深い。ベストセラーになったのも深くうなづける上質のミステリ。

No.2 6点 蟷螂の斧
(2015/07/21 21:08登録)
裏表紙より~『ドイツ、2007年春。ホロコーストを生き残り、アメリカで大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人の老人が射殺された。凶器は第二次世界大戦期の拳銃で、現場には「16145」という数字が残されていた。しかし司法解剖の結果、遺体の刺青から、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者らの隠された過去を探り、犯行に及んだのは何者なのか。刑事オリヴァーとピアは幾多の難局に直面しつつも、凄絶な連続殺人の真相を追い続ける。』~
登場人物が多く、人物表以外での重要人物もかなりいるので相関図は必要か?(苦笑)。カットバック方式はいいのですが、1単位の文章が短すぎるのと、視点が多く変わりすぎるのが難点でした。家族関係他も複雑化し過ぎているように感じました。話の内容はドイツらしいものです。

No.1 7点 kanamori
(2012/11/07 20:31登録)
北欧ミステリに続いて、昨年ぐらいからやたらと翻訳が増えてきたドイツ・ミステリの今年の注目作。
”ドイツミステリ界の女王”とも称されるネレ・ノイハウスの本邦初訳、オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン主席警部シリーズの3作目です。
ドイツミステリというと、英米ものとは一味違った型破りのミステリというイメージがありましたが、本書は意外とオーソドックスな警察小説でした。(ただし、ネタはドイツならではですが)。
序盤は視点人物と場面をころころ変えるカットバックの多用と、慣れないドイツ人名や人物関係が把握できないこともあって読むのが少々もたつきましたが、名門カルテンゼー家を中心とした構図が明瞭になってからはなかなかの面白さ。オリヴァーの部下の女性警部ピアをはじめとする警察内部の恋愛関係を絡めた展開は、同じ女性作家エリザベス・ジョージのリンリー警部シリーズを連想させるところがあります。

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