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ミステリの祭典

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女ともだち

作家 真梨幸子
出版日2006年06月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 5点 パメル
(2024/08/06 11:07登録)
1997年に起こった「東電OL殺人事件」から着想を得て書き上げた女性特有のドロドロした妬みと嫉みが堪能できる作品。
埼玉県のタワーマンションの最上階と二階で、二人の女性の死体が見つかる。二人の共通点は独身でエリート。二階の自室で殺害された吉崎満紀子は、ネットで知り合った男たちを相手に売春していたらしい。警察は、満紀子と関係を持っていた配送ドライバーの山口啓太郎を逮捕した。しかしフリーライターの栖本野江は、この事件には世間に知られていない裏が存在するとにらみ、真相を炙りだそうとする。
登場する女性たちは、癖が強い人物ばかりで心理描写の薄気味悪さで攻めてくる。といっても同じマンションの部屋を自分より安く買った住人や他のマンションの住人への嫉妬、女同士の友情に潜むヒエラルキー、独身者に対する主婦の優越感など、個々の要素は身近なものであり、題材として特異というほどではない。だが読んでいるうちに、それらの描写の執拗な積み重ねによって、陰鬱な気分に支配されているのに気づかされる。人間の醜悪な部分を書かせたら天才的だと再確認した。
日常を一皮めくった裏側に潜む狂気や人生のあちらこちらに待ち受けている落とし穴の描写に、いつでも現実に起こり得るのではないかという迫真性が感じられる。

No.3 5点 レッドキング
(2024/01/25 23:07登録)
桐野夏生「グロテスク」同様、これも「東電OL殺人事件」を元ネタにしている。映画「昼顔」「ミスターグッドバーを探して」はじめ、「堅気にして娼婦」パターンは、男の下世話好奇心のみならず、女のアイデンティティー深層にも刺さるのか。「グロテスク」以上に、元ネタ以外のキャラ立て役回りに重点が置かれ、ミステリらしく仕上がっている・・そもそも、元ネタや「グロテスク」は事件解決してないし・・にしても、胎児死体の蒐集埋葬って・・(*_*;

No.2 6点 パンやん
(2016/04/17 07:12登録)
「フジコ」に比べるとイヤミス度も、ドロドロ度も少し及ばず、女が抱える妙な生き物感覚が不気味でさすがに読ませるが、ミステリーとしてのカタルシスは薄い。というか、真梨作品の世界観を楽しむもので、他の女流作家には無い感覚に惹き付けられ、虜になるのであった。

No.1 6点 シーマスター
(2012/07/24 22:50登録)
「殺人鬼フジコ」同様なかなかのグロさと「カラいけど止められない」明太子のようなリーダビリティを兼ね備えた「ミステリー」
ただねぇ、思わせぶりに盛り上げて、途方もない意外性を匂わせて・・・・連れて行かれるところは・・・好みが分かれるとしか言いようがない。
それでも一見「んなんアリかよ」と思える真相も、入念に伏線は張られているから「何でもアリ」作品ではないと思う。もちろん「女って怖いね~」とか言って片付けられる話でもない。

この手の女性作家(どの手だ?)の作品の例に漏れずさまざまな薀蓄が語られるが、ムーミンキャラクターのスナフキンとミイが異父姉弟だったというのには驚いた。スナフキンがミイの弟だったとはね。

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