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ミステリの祭典

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治療島

作家 セバスチャン・フィツェック
出版日2007年06月
平均点4.75点
書評数4人

No.4 5点 メルカトル
(2024/01/10 21:44登録)
目撃者も、手がかりも、そして死体もない。著名な精神科医ヴィクトルの愛娘ヨゼフィーネ(ヨーズィ)が、目の前から姿を消した。死に物狂いで捜索するヴィクトル、しかし娘の行方はようとして知れなかった。4年後、小さな島の別荘に引きこもっていた彼のもとへ、アンナと名乗る謎の女性が訪ねてくる。自らを統合失調症だと言い、治療を求めて妄想を語り始めるアンナ。それは、娘によく似た少女が、親の前から姿を隠す物語だった。話の誘惑に抗し難く、吹き荒れる嵐の中で奇妙な“治療”を開始するヴィクトル、すると失踪の思いもよらぬ真実が…2006年ドイツで発売なるや、たちまち大ベストセラーとなった、スピード感あふれるネオ・サイコスリラー登場。
『BOOK』データベースより。

精神病患者でありながら精神科医と統合失調症患者で謎の女の対決。様々な謎を孕んだストーリーは悪くないですが、もう少し書き様があったのではないかという気がしてなりません。外堀を埋めて少しずつ真実に近づく速度が遅すぎてじれったいったらありゃしない、です。もう少し核心に迫る様な描写があっても良かったんじゃないでしょうかね。遅々として進まない展開にイライラします。

ドイツではこれが大ベストセラーになったと言うんだから、底が知れてますね。日本だったら新人作家である事を考慮しても、それほど話題になった筈がありません。こなれた作家ならもっと上手く料理出来たかも知れませんが、この何とも言えず地に足が付かない据わりの悪さが、本作では裏目に出ていると思います。

No.3 6点 八二一
(2021/02/25 21:11登録)
何が事実で何が虚構なのか、誰が正常で誰が異常なのか。圧倒的な迫力で次から次へと押し寄せる不可能状況に鼻面を引き回され眩暈がしてくる。

No.2 4点 touko
(2012/07/28 11:42登録)
前半の謎めいた雰囲気はよく、ベストセラーという触れ込みもあって期待したのですが、今時こんなオチはない、と思った記憶があります。
何十年も前の作品というならまだしも、ねえ。

No.1 4点 kanamori
(2012/07/15 18:38登録)
嵐で孤立した北海の島にある別荘を主な舞台に、元精神科医の主人公と謎の訪問女性との心理劇を描くサイコ風サスペンス。

新刊の「アイ・コレクター」がまずまず面白かったので、ドイツで驚異的ベストセラーだったというデビュー作の本書も読んでみたのですが、これは見事にハズレでした。
4年前の少女失踪事件を背景に、不可解な出来事を連発させる途中までのリーダビリティは良ですが、引っぱった末の真相はいわゆる”〇〇オチ”のたぐい。信頼できない語り手によるミステリでこれをやられると読者はたまりません。

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