罪悪 |
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作家 | フェルディナント・フォン・シーラッハ |
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出版日 | 2012年02月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 6点 | メルカトル | |
(2022/12/03 22:49登録) ふるさと祭りで突発した、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社にかぶれる男子寄宿学校生らによる、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こした悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。麻薬密売容疑で逮捕された老人が隠した真犯人。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位の『犯罪』を凌駕する第二短篇集。 『BOOK』データベースより。 全般的に言えるのは無味乾燥で文章に血が流れていない印象。~した、~だったという末尾の説明文が延々と続き物凄く鼻に付きます。極端に少ない会話文がそれに拍車を掛けている感じがしました。又、ドイツには起承転結という言葉がないのかと思った程平坦な物語が多いのにげんなりと。正直これが本屋大賞第一位とは俄かには信じられません。それでも6点としたのは中に結構面白い短編が含まれているからです。 面白いと感じたのは『ふるさと祭り』『イルミナティ』『寂しさ』『清算』『秘密』の五篇。短めの短編十五篇中五篇だから打率はあまり高くないですね。でもまあこんなものでしょう。あまり期待せずに読むべき本だと思います。そうすればある意味納得できるかも。 |
No.3 | 6点 | ◇・・ | |
(2022/11/02 19:14登録) 作者は犯罪について書くが、そこに至る感情を描かない。冒頭を飾る「ふるさと祭り」でも、傑作「間男」でも、焦点となる犯罪の原因は空白のまま。百万言を費やしても描き得ない人と世界の暗い不思議を、作者は百万言を費やす。代わりに空隙として残す。そして起きたことだけを読者に差し出す。余白に思いを巡らせるのは読者たちの仕事と言わんばかりに。 |
No.2 | 6点 | HORNET | |
(2012/06/03 19:09登録) 刑事弁護士である作者が、実際の事件に基づいて描いたものとして、前作「犯罪」に続き書かれたもの。前作の好評を得て執筆されたものであるならば、自然ネタとしては前作がベストだったわけで、まぁそんな感じになる。とはいえ、「子どもたち」「解剖学」などは、これが実際にあった話だとするとすごい。「アタッシュケース」などは結局真相自体は何も分からないままでぞっとする。 一話ずつの長さもくどすぎずに読みやすく、とんとん拍子で最後まで読んでしまう。今後も出すのであれば読みたいとは思う。 |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2012/04/10 18:44登録) 刑事弁護士の「私」が関わった様々な人々のさまざまな犯罪を綴った連作クライム・ミステリの第2弾。 前作「犯罪」と全く同じ構成で二匹目のドジョウ狙いという感があって、異様な犯罪であっても個々の作品から受ける衝撃度は弱まった。200ページ余りに15編収録されており、ショート・ストーリーが多いのも読み応えという点でやや減退している。 陰惨な話が目立つ中で、麻薬取引を巡るドタバタ・コメディ劇の「鍵」が二転三転する展開と、ラストのミステリ趣向が面白く個人的ベスト作品。車、犬、鍵をお題にした落語の三題噺といった感じ。 ショート・コント風の「秘密」には爆笑。これを最終話に持ってきた所に作者のセンスを感じる。 |