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ミステリの祭典

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日時計

作家 クリストファー・ランドン
出版日1958年01月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 4点 ボナンザ
(2020/07/06 20:59登録)
古典として親しまれている作品だが、主要キャラクターにどこまで共感できるかによるだろう。個人的には三人がドタバタしているのがそれほど面白く思えずこの評価。

No.3 6点 人並由真
(2017/08/01 15:59登録)
(ネタバレなし)
創元の旧クライムクラブの一冊で、文庫版でも細く長く? 刊行されてきた作品。それだけに稀覯本としての重要度や希少性の面で、ともすれば軽く見られ 意外に読んでる人は少ないかも。

過去に弱みのある小市民が3歳の娘を誘拐されて悪事を強要され 、相談を受けた若いおしどり夫婦 の探偵(『NかMか』時分のトミイとタペンスみたいな)が、ちょっと個性的な友人を 巻き込んで 、手掛かりの写真から少女を救出に行く話。

うん、これは確かにガーヴ流の英国スリラーですな。キャラクター もテンポも一部淀みなさすぎる軽さはあるけど、そういう弱点とのトレードオフで、 なかなか面白かった。
旧クライムクラブ版の解説を読むと、同じ作者のほかの諸作も手堅く良さげだけど、特にシリーズキャラクターがいるわけでもなさそうだし、未訳の発掘とかは難しいだろうな。

No.2 5点 斎藤警部
(2015/08/14 18:00登録)
妙にcozyな味のある、旧き良き誘拐サスペンス。 意外な結末とかは、無いね。
いや、サスペンスってほどサスペンスも無いね。 と言ってハードボイルドなわきゃ無いし。。 バカ法廷でも恋愛叙述でも冷戦スパイでもない、日時計という自然の力をそのまま使った素朴な道具に想像を絶する驚天動地の仕掛けを施した悪魔のアリバイ・トリック物でもある筈がなく。。
そうだ、やっぱり miniさんの仰った「軽冒険小説」という呼称がとてもしっくり来ると思います。

主人公の男がなんだか自分っぽくて共感出来た、と記憶している。 かなり前の話だけど。

No.1 6点 mini
(2013/06/10 09:58登録)
* 4作限定私的読書テーマ、時計シリーズ第2弾はランドンの「日時計」

創元文庫に古くから有ったので昔からの読者には知られたクリスファー・ランドンだが、海外の名作リストにもあまり見ない名前だしマイナー作家の1人であろう
日本では唯一「日時計」だけが知られた作品だが、今回読んで見ると、これは一種の冒険小説だよなぁ
ところが昔から一部の本格マニアに読まれる傾向が有って、読んでみたら期待したものと違うみたいな書評をよく見る
一体何を期待してたんだ?それはこの”日時計”という題名にある日時計の原理での場所の推定が本格心を擽るからだろうと思う
しかしさぁ、その手法は読者に向けたパズルでも何でも無いんだよなぁ、別に読者に推理データが与えられているって訳じゃないし単なる捜査手法の1つでしかない、どちらかと言えば主人公ではないある登場人物の特殊能力を活かすエピソードって感じだ
従って本格を期待して読んだら肩透かしだったなんて書評は全くの的外れだろう、どう読んでもこれは冒険小説の一種として捉えるべき作でしょ
ただし冒険小説と考えると、「日時計」は凄く軽妙で正統的な冒険小説の感じがしない、とにかくノリが軽いんだ(笑)
さて冒険小説のサブジャンルに”軽冒険小説”というのが有るかは知らないが、その手のサブジャンル名を付けるとしっくりくる作家群が有る
そもそも”軽ハードボイルド”っていう分野があるんだから、”軽冒険小説”というサブジャンルが有ってもいいじゃないか
軽冒険小説と言えば、そう真先に思い浮かぶのがアンドリュー・ガーヴだ、ランドンの「日時計」ってガーヴっぽいと思ったのは私だけ?
実はガーヴとランドンの両者だが、ガーヴは1950~70年代まで書いているが有名作続出の最盛期は50年代だ
ランドンもあまり書誌が我が国に知られていないが活躍年代が50年代と一致している
これはもしかすると1950年代の英国に、軽冒険小説というジャンルが密かに有ったのかも知れんな
ところがハモンド・イネスはまだ健在で、55年にアリステア・マクリーンが登場してしまって、冒険小説はヘヴィーな本格的王道正統派なものが完全に主流となってしまい、軽冒険小説は大きな潮流に成り損ねたのかも知れない

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