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ミステリの祭典

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エラリー・クイーンの国際事件簿
エラリイ・クイーン

作家 エラリイ・クイーン
出版日2005年07月
平均点7.50点
書評数4人

No.4 7点 ボナンザ
(2018/10/06 20:15登録)
事実は小説より奇なりを地でいく実話禄。クイーンのお眼鏡にかなったというお墨付きの逸話たち。

No.3 7点 クリスティ再読
(2018/06/23 20:52登録)
雑誌の連載カラムのかたちで発表されたショートショートくらいの規模の犯罪実話集である。本作がきわめて興味深いのは、ダネイが一切かかわらないリー単独の仕事だ、ということである。クイーンというと、プロット=ダネイ、小説としてのリアライズ=リー、という分担だと言われる。ダネイは別なライターと組んでの作品がいろいろあるのだが、リーの単独作は実質本作きりである(まあハウスネームの方は監修していたらしいが)。評者結構なリーの文章のファンだから、楽しみにしていた...
で本作、期待に違わないくらいに面白い。とくに前半の「国際事件簿」が、いい。実話のショートショート(平均で文庫8ページほど)なので、状況説明が終わればいきなり解決、というシンプルさの制約のなかで、国際色豊かで奇譚といった方がいいような奇抜さと残酷さを楽しむことができる。新青年で昔人気を博したモーリス・ルヴェル(「夜鳥」で文庫がある)のような味わいだ。狭い意味での犯人対探偵のミステリではなくて、もっと人生な味わいが深いスケッチである。国際色豊か、というのも犯罪実話なので文化的な軋轢を覗かせる作品もあってそういう面の興味も深い。個人的には「モンテカルロ クルーピエの犯罪」(カジノのディーラーに不正の疑惑が...)なぞロアルド・ダール風のオチ付き掌編で、好きだなあ。あと「エルサレム 聖地の受難」はクイーンがたまに覗かせる神秘主義の香りがする。
後半の「事件の中の女」は国際色はなくなるが、残忍さでは前半を上回る。名古屋のタリウム少女事件に似た事件を扱った「女王陛下の沙汰あるまでは勾留」など異常性格者の犯罪が目につく。結構シリアルキラーの話もおおくてグロ味があるので苦手な人は何である。
この2つの中間に2つ「私の好きな犯罪実話」と題して、サイレント期のハリウッドで起きたテイラー事件(チャプリンとも共演した喜劇女優メイベル・ノーマンドが没落するきっかけになった..)と、ベンスン殺人事件のモデルになったエルウィン事件を取り上げている。それこそこれは、若き日のリーにショックを与えた事件だったに違いない。そうだね、ベンスンも実話ベースという切り口で読むのも面白いのかもね。

No.2 8点 あびびび
(2017/06/28 00:13登録)
エラリー・クイーンが世界を回り、警察関係者や、事件を知る人々に聞いた、「最も印象に残った事件」を取材する。日本はあの帝銀事件だが、エラリー・クイーンの視点から見ればより分かりやすく、興味深かった。

でも未解決事件はどうしてもすつきりしない。

No.1 8点 Tetchy
(2012/02/24 23:57登録)
本書に挙げられているのは19世紀の終わりから20世紀の半ばにかけての犯罪記録である。こういった記録は実際貴重である。日本でも牧逸馬氏が同趣向の世界怪奇実話集を編んでいたが長らく絶版となっていた。それを島田荘司氏が精選して復刻させた。本書は今なお本屋で手に入るのだからまだ幸運だ。

世界で起こったフィクションを凌駕する奇妙な事件の数々を集めた本書はその内容ゆえに読後感が決して良いわけではないが、歴史に残る犯罪記録として実に貴重な作品だ。さらに本書が書かれた“その後”について触れられた解説は本書の事件の驚きをさらに補完してもう一度驚かせてくれる(特に母親を殺した2人の少女のその後は強烈だ!)。その存在の意義と価値、そしてここに収められた話の奇抜さと作者の簡潔にして冷静な叙述ぶりを高く評価しよう。

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